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2006年5月の記事

2006年5月25日 (木)

幻のホールウェイシリーズ

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 NBAプレイオフはすでに四強の争い(カンファレンス・ファイナル)に突入しているけれど、先に進む前に、LA在住ライターとしてはこのことを書いておかなくては。

 タイトルにあるホールウェイ(Hallway)とは廊下のこと。つまり、ホールウェイシリーズとは「廊下シリーズ」だ。1回戦でレイカーズが敗れてしまったために幻と終わってしまったLAチーム同士の対戦が実現していたらつけられていたはずの名称だが、サブウェイ・シリーズやフリーウェイ・シリーズに比べると、なんともカッコ悪く、笑える名前である。何しろ、レイカーズとクリッパーズは同じステープルズ・センターをホームにしているから、両チームの間にはサブウェイ(地下鉄)もフリーウェイ(高速道路)もなく、両チームのロッカールームの間にあるのは廊下だけなのだ。
 プレイオフの1回戦、クリッパーズがナゲッツを簡単に片付け、レイカーズがサンズ相手に3勝1敗と王手をかけたころから、LAでは一気にこの「ホールウェイシリーズ」実現に対する期待感が高まり、噂ではすでに「ホールウェイシリーズ」Tシャツまで作られていたらしい。
 結局、レイカーズがサンズに5、6、7戦と3連敗してホールウェイシリーズは実現せず。でも、今シーズンのように両チーム揃ってプレイオフに出て入れば、いつか実現するだろうし、今年作られていたというTシャツもそのときにお蔵から取り出されて日の目を見ることもあるかも!?

 ところで、もしホールウェイシリーズが実現していたとしたら、どうでもいいけれど気になることが2つほどあった。

(1) ホームコート・アドバンテージ?
 今シーズンの対戦となったら、ホームコートアドバンテージはクリッパーズにあった。とはいえ、どちらも同じステープルズセンターがホームコートなわけで、両チーム選手ともにホームゲームの感覚で自宅から通える。ロッカールームも、両チームともにホームチーム仕様の、いつも使っているロッカールーム。違うことといえば、フロアのデザインと、シーズンチケットホルダーのファンと、PAアナウンサーくらい。クリッパーズのエルトン・ブランドは「ホームフロア・アドバンテージ」なんて言っていたけれど、シーズンチケット・ホルダー以外の席は両チームのファンが入り混じって買っただろうし(※)、いつものプレイオフほどホームコート・アドバンテージがないシリーズになったかもしれない。

(※ちなみに、先に1回戦を勝ち抜いたクリッパーズは、対戦相手が決まる前にカンファレンス・セミファイナルのホームゲーム・チケットを発売したのだが、なんと10分で全部売り切れたらしい。この中にはレイカーズ・ファンもたくさんいたはず。クリッパーズ・ホームのチケットを買うほうが、同じ席でもチケット代は安くてすむしね)

(2) 遠征手当(食費)
 NBA選手はふだん遠征に出たときには、チームから食費手当が支給される。この額は労使協定によって決められていて、2005-06シーズンは1日102ドルだ。ちなみに内訳は朝食が18ドル、昼食が29ドル、夕食が55ドル。
 それでは「ホーム」にいながら「アウェイ」のホームウェイシリーズでも、ロードゲーム扱いの試合ではこの手当が支給されるのだろうか? そう聞かれたエルトン・ブランドは"I hope so"と、希望的観測のコメントをしていたけれど、実はこの答えはNO。
 食費手当がもらえるのには条件があり、遠征先のアリーナが、ホームアリーナから75マイル(120km)以上離れていること。当然ながら、同じアリーナを使っているこの2チームの場合は×というわけだ。(ちなみに、この条件だと、ニックスとネッツの間の試合も食費手当はなしである) ま、日本円にして億単位の年俸をもらっているNBA選手からしたら、たいした違いではないかもしれないけれど、でも、生活が苦しくなくても、こういう手当が欲しいのが人情というもの、のようだ。

 でもよく考えたら、こういったことはレギュラーシーズン中の両チームの対戦でもわかっていることなわけで、食費手当が出ないということはブランドもわかっていたと思うのだけれど…。

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2006年5月23日 (火)

Mirror Match

P1120675s_3 P1120678s_4  カンファレンス・セミファイナルのサンアントニオ・スパーズ対ダラス・マベリックスは、第7戦のオーバータイムまでもつれる熱戦で、かなり見ごたえがあった。よく似たチーム同士の対戦でもあり、「鏡を見ているようだ」(確か、スパーズHCのポポビッチが言っていたコメント)という声もあった。何しろ、HCのグレッグ・ポポビッチとエイブリー・ジョンソンが師弟ということもあって、システムも似ている。このシリーズをスカウティングしていた他チームのスカウトいわく、特にディフェンスの基本システムは両チームともそっくりだそうだ。オフェンス面では、マブスはドン・ネルソンがヘッドコーチだった頃のシステムも残しているので、そこまで、そっくり同じというわけではないようだけれど。
 このシリーズ中に何度も、「弟子」のエイブリーについて聞かれたポポビッチは、「いい加減、エイブリーはそう呼ばれることに飽き飽きしているんじゃないか。彼だってこのリーグでもう90年(!)やっているのだから、誰かの弟子でも何でもない。一人で立派にやっているだろ」と、ポポビッチ流のシニカルなコメントをしていた。このシリーズのエイブリーの采配は弟子というよりは挑戦者的なアグレッシブなもので、見ていても、エイブリーの仕掛けにポポビッチがどう対応するかなど、見ごたえがあるシリーズだった。

P1120760s  「鏡の対戦」で思い出したのは92年のNBAファイナル。シカゴ・ブルズとポートランド・トレイルブレイザーズは、どちらもシューティングガード(マイケル・ジョーダンとクライド・ドレクスラー)を中心としたアスレティックなチームで、チーム構成やスタイルがよく似ていた。現地で取材していて、「鏡のよう」という表現を何度か聞いたので、それをHOOPの記事に使ったところ、その記事はタイトルに、"Mirror Match"とつけられ、左ページにジョーダン対ドレクスラーのマッチアップのポジ写真、右ページにその反転写真というデザインで上がってきて印象的だった(バックナンバーを引っ張り出してきて、そのページを撮影したのが左の写真)。
 今回のスパーズとマブスも、同じテキサスのチームだということや、スピードあるガードがいたり、試合中におでこに怒りマークがついているのではないかと思うほど真剣なヘッドコーチなど共通点はいくつもあるけれど、何といってもダンカンとノヴィツキ。器用で多才なビッグマンという点だけでなく、言葉よりもプレーで引っ張るタイプのリーダーという点もそっくりだ。

 さて、今回、このシリーズを取材して一番感じたのはノヴィツキの変化だ。かつてソフトだと批判されていた彼だが、このシリーズでは捻挫してもプレーし続け、第7戦4Qの最後のシュートもジャンプシュートではなく、ゴールに攻め込んでの3ポイントプレーを決めるなど、強さが目立った。エイブリー・ジョンソンが「タフでないとスパーズには勝てない」と言っていたが、まさにマブスにとってはそのタフさで勝ち取った勝利だった。ノヴィツキ個人としても、このシリーズでは、ダンカンと並べて評価されるくらいの選手にまで成長したことを証明した。

 最後に、ノヴィツキのタフさに関連して、ひとつ世間の誤解を解くためにも書いておきたいのは、マイケル・フィンリーへのブーイングの話。
 昨季まで長年マブスとしてプレー、去年夏にNBAの特赦措置でサラリー削減のためにマブスをカットされたフィンリーは、その後スパーズと契約。マブス・ファンにとっても思い入れがある選手だけに、レギュラーシーズンの2試合ではスパーズがダラスで試合をするたびに、ファンも拍手で迎え入れていた。それが、このシリーズでは、フィンリーがボールを持つたびにマブス・ファンからはブーイングの合唱。スパーズHCのポポビッチは「長年忠誠を尽くした彼をブーイングするなんて」と憤慨していたし、今朝のアリゾナの新聞を見たら、やはり元マブスのスティーブ・ナッシュも「ばかげている。信じられない。失礼だ」と怒っていた。
 でも実はこのブーイングは、マブスのファンがフィンリーがスパーズでプレーしているのが不満だから発しているブーイングではなく、ノヴィツキが、シリーズ3戦@ダラスを前に言ったコメントに端を発していた。ダラスのファンがレギュラーシーズン中に暖かくフィンリーを迎えていたことを聞かれたノヴィツキはきっぱりと、「レギュラーシーズン2試合で彼は十分に拍手を受けた。そろそろ彼をブーイングする時だ」と言ったのだった。ノヴィツキいわく、これは冗談半分で言ったコメントだったらしいのだけれど、その一方で「勝負のときは友情は別。フィンリーはいまや敵」という確固たる気持ちの表れだったのだろう。そして、おそらくマブスのファンも、そんなノヴィツキの気概を誇りに思い、敬意をこめてフィンリーにブーイングしていたのだと思う。
 次のカンファレンス・ファイナルでは、またもや元マブスであり、ノヴィツキの大親友でもあるスティーブ・ナッシュがサンズのユニフォームを着てダラスを訪れる。果たしてマブス・ファンにブーイングで迎えられるのか、拍手で迎えられるのか、興味深い。
 

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2006年5月 4日 (木)

Heat up!

P1120625s_1 P1120655s_1  写真は、サンズ対レイカーズ第3戦後(左)と第4戦後(右)のスティーブ・ナッシュ。よーく見ると、ジーンズは2日とも同じ。上に着ているシャツも、とっても庶民風。ドレスコード(服装規定)ができて、襟付きのシャツを着なくてはいけなくなってTシャツ姿というわけにはいかず、苦肉の策といったところ? ま、無理してスーツやジャケットを着るよりはこういうカジュアルな服のほうがナッシュらしい。

 さて、シリーズはレイカーズが3勝1敗と王手をかけたあと、あとがないサンズがホームで意地を見せて勝ち、現在レイカーズ3勝、サンズ2勝。これまでライバル関係とほどの出来事もなかった両チームということもあってか、コート上では熱い戦いで、選手同士がにらみ合ったり、怒鳴りあったりの場面はあるものの、いったん試合が終わってしまうとコメントなどにはあまり緊迫感がなかった。負けたあとも相手チームのプレーを褒めたりして、スポーツマンシップ的には優等生だけど、かつてのブルズ対ピストンズ、ブルズ対ニックス、さらにはブルズ対ペイサーズあたりのやりあいを見てきた私には少々物足りない感じ。
 何しろ、第4戦であれだけの熱戦に負けたあとの記者会見で、サンズのダントーニHCは「この負けはキツイ」と言いながらも、記者会見中笑顔で、「ディフェンスもできたし、ビッグショットも決めていた」と、チームとしてやるべきことができたことをあげたあと、「だからきょうは勝てた」とポロリ。言ったあとにすぐに自分で間違いに気づき、「おっと…。勝ったんじゃなくて、あと少しで勝てるところだった、だね」と、苦笑いをしながら言い直しするという場面もあった。

 そんな和やか(?)な両チームの間も、5戦目でラジャ・ベルが、ドライブインしてきたコービーの首のところに手をかけて投げ飛ばし、フレグラント・ファウルを取られたあたりをきっかけにヒートアップしてきた。コービーいわく、「あれはバスケットボールではなく、オクタゴンの中でやること」。格闘技に疎い私は最初、何のことかわからなかったのだけれど、UFCのリンクのことをオクタゴンって言うんですね。こういうコメントが出るところを見ると、コービーはプロレスファン?

 ま、この第5戦のあとも、記者会見にやってきたラジャが「肘鉄を何度も顔に受けて、つい過剰反応してしまった。その点では僕がいけなかった」と自ら非を認めたり、レイカーズのフィル・ジャクソンHCとコービーが「彼が第6戦、出場停止にならないことを願っている」と口を揃えて言ったり(理由は、全戦力が揃ったチームと戦って倒したいから)、やっぱりまだ、かつてのライリー対ジャクソンとは違って、感情むき出しのコメントまではいっていなかった。
 しかし、その空気を変えたのはTNTが3日、サンズの練習後にとってきたラジャのコメント。
「彼(コービー)のことは憎んではいないけれど、全然敬意は感じない。彼は気取った、傲慢な人間だからね」
 カメラがないところでのコメントだったらしく、どういう質問に対してこういうコメントが出てきたのかわからないのだが、とにかくLAでのレイカーズの練習場ではTNTのプロデューサーによって、このコメントがコービーに伝えられた。それまで、ラジャ・ベルのことを「彼はいいディフェンダーだし、ただお互いハードにプレーしているだけ」と言い、ラジャのフロップについても「それもゲームのうち」と言ってていたコービーだが、このコメントを聞くと一転。
「本当にそんなことを言っていたの? 過剰反応しすぎなんじゃないか? 僕は彼のことを考えたこともない。試合で対戦するだけの関係だ。彼のことは知らないし、知る必要もない。もしかして子供の頃にあまりハグしてもらえなかったんじゃないか? あまり自分に自信がないように思えるね」と皮肉っぽいコメント。

 取材を終えて、家に帰ってからTNTを見たら、やっぱり、この二人のコメントを交互に流し、対決ムードを盛り上げていた。テレビに仕掛けられた対決という感じがしなくもないけれど、サンズが追い込まれたこともあって、さすがに和やかムードは消えて、ヒートアップしてきた。問題は、そのヒートアップした雰囲気の中、どちらのチームがアグレッシブさを保ちながらも冷静でいられるか。中心選手以外はプレイオフ経験がない両チームだけに、そのあたりが勝負を分けることになりそうだ。

 ちなみに、ラジャ・ベルはチームといっしょにLAまで来ているものの、リーグから一試合(第6戦)の出場停止処分が発表されたため、第6戦の試合中はホテルで待機。ステープズセンターに来ることもできない。というわけで、このシリーズ中に再び二人のマッチアップを見るためにはサンズが6戦目に勝たなくてはいけないわけだ。

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2006年5月 1日 (月)

An exciting day

P1120636s  きのう(4/30)のサンズ対レイカーズ第4戦で2本(4Qとオーバータイム)の決勝シュートを沈めたコービー・ブライアント(左)。
「これまでに決めてきたどのシュートより嬉しい。これまでは勝つことを期待されてきたから、シュートを決めたあとはほっとする気持ちのほうが大きかった。今のこのチームは、誰も何も期待していないし、それだけに、こういう経験をみんなで共有できるというのが特別」と、本当に嬉しそうだったのが印象的だった。

 そんな特別なシュートから一夜明けて、あらためてコービーの気持ちを聞こうとレイカーズの練習場に行ったら、コービーだけいない。
「コービーは昨夜、赤ん坊が生まれたのできょうは練習は休みです」とレイカーズ広報。予定日よりもほんの少し早いんじゃないかな。きのうのエキサイティングな試合で、赤ちゃんも早く出てきたくなってしまったのかも。フィル・ジャクソンは、「ああいう試合のあとだし、ビクトリアって名前がいいんじゃないかな」と提案していたが、どうやらこのフィルの案は採用されなかったようで、実際にはGianna Maria-Onoreと名づけられたらしい。

 そういえば、東京アパッチでヘッドコーチをしていたコービー父も、WNBAチームのロサンゼルス・スパークスをコーチするため、きょうLAに戻って来るはず。アメリカでは早ければ出産から1日で退院するし、コービーも明日の朝までにフェニックスでチームに合流すればいいようなので、今夜は一家勢ぞろいかな。

 さて、私は今からクリッパーズ対ナゲッツ第5戦の取材に行ってきます。

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