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2007年5月の記事

2007年5月30日 (水)

カオス Chaos in Lakerland

P1180540s  NBAカンファレンス・ファイナルの真っ最中だが、きょうのロサンゼルス、そしてNBA界ではコービー・ブライアントのトレード要求の話でもちきりだ。

 先週末、家族との休暇から戻ってきたコービーは立て続けに何人かの記者の取材を受け、今すぐに優勝を狙えるチームになりたいとフラストレーションを口にし、「ジェリー・ウェスト(元レイカーズGM。2002年にメンフィス・グリズリーズのフロント入り、今年6月末で契約が切れる)にレイカーズに戻ってきてほしい」と言った。

 ミッチ・カプチャックというGMがいながらウェストのキャンペーンを公に口にしたのには理由があった。2004年の再契約の際、コービーはチームから、今すぐに優勝を狙えるチームを作ると言われていたのだが、チームはなかなか本格的な補強をしてくれない。その間に、レイカーズでプレーしたいと熱望したバロン・デイビスやカルロス・ブーザーの間に入ってカプチャックGMに話を持っていったのだが、そのたびにいろいろ難癖をつけて話を聞いてもらえなかったということもあったらしい。負けず嫌いのウェストなら彼自身が今すぐに勝てるチームを作りたいと言ってくれるはずだ、という思いから出た発言だった。

 それでも、まだこの時点ではコービーはレイカーズが何とか方向修正をしてくれることを期待していた。「ウェストが戻らなければトレードしてほしい」と言ったとの報道もあったが、これはすぐにコービー自身が別の取材で打ち消し、「要求ではなく提案」と主張した。

 このトーンが変わったのがきのう(5/29)のこと。LAタイムスの記事中に、「レイカーズのインサイダー(内部の人間)も言ったように、この混乱を作り出したのは、ブライアントがシャキール・オニールと離れたいと主張したことが原因だ」と書かれていたことだった。
 まわりで何もわかっていない人間から言われるならともかく、レイカーズの内部の誰かが、シャックのトレードの原因がコービーにあると言ったということを知り、コービーは怒りを爆発させた。すぐに自分の公式サイトのブログに、「真実:レイカーズの“インサイダー”は間違っている」という記事を書いた。
 その記事他によると、2004年にコービーがFAとなるずっと前、シーズン中にコービーはレイカーズのオーナー、ジェリー・バスから直接、「君がフリーエージェントになるかに関係なく、シャキール・オニールとの契約延長はしない。今のオニールにシーズンあたり3000万ドルもの契約金(シャックの要求額)を払うつもりはない」と明言したのだという。

 さらには、このことでフィル・ジャクソンと電話で話す中で、実は2004年、チームはコービーに「今すぐに戦えるチームを作る」と口約束をしておきながら、その実、チームのサラリー総額を減らして長期計画で再建しようとしていたということもわかった。ジャクソンがこのときコーチとして再契約しなかったのも、オニールとの契約延長をせずにトレードで出したのも、どちらもこの経費削減のためだった。“インサイダー”問題とあわせて、チームに対する不信感がつのった。

 それでも、きのうの夕方、LAのラジオ局のインタビューを受けたときはまだコービーはトレード要求までは口にしていなかった。しかし、きょうになってまた別のラジオ番組のインタビューを受け、今度ははっきり「トレードで出してほしい」と言った(実際、この朝、インタビューより前にコービーはカプチャックGMと電話で話し、トレードを求める気持ちを告げたという)。そのときには、「どんなことがあっても(トレードしてほしい)気持ちは変わらない」と言っていたが、その2時間後くらいにまた別のラジオ番組の取材を受けたときには、ジェリー・ウェストがチームに戻ってきたらと聞かれ、そうなったらチームに残ってもいいというようなことを示唆した。コービーいわく、今、彼がレイカーズで信頼できるのはフィル・ジャクソンだけなのだとか。

 ちなみに、コービーはその“インサイダー”が誰なのか思い当たる節があるようだ。その上でこれだけ怒っているというのは、たぶんフロントのかなり重要な人物なのでしょう。そして、どうやらフィル・ジャクソンも、コービーが言うまでもなく、何がどうなってこういう問題になったのかわかったらしい。その上で、フィルがコービーに「すべてはうまくいくから、今は気を落ち着かせて、待っていなさい」と言ったのだとか。これが、最終的にコービーが強硬なトレード要求から一歩下がり、様子見の姿勢になった理由のようだ。

 トレード要求したからといってレイカーズがすぐにコービーをトレードに出すわけではない。コービー自身も深く考えての行動というよりは、怒りが爆発し、我慢できなくなっての発言である。
 この先、レイカーズがどういう方向に進むかはわからないが、それでなくてもこのところ混乱気味のレイカーズのフロント陣。コービーの信頼を取り戻すためには何かしら手を打つ必要があるだろうし、そうでなければコービーとの亀裂は修復不可能なものになりそうだ。

 それにしても皮肉なことに、今回のことで真っ先にコービーの言葉を信じるという発言をしたのはシャキール・オニール。彼自身、レイカーズのオーナー、フロント陣に裏切られたという思いがあるからのようだ。きのうの敵(このところ関係は改善していたけれど)も、共通の敵ができると仲間、ということか。

(訂正)
 5/29にLAのラジオ番組に出演したときのインタビューをあらためて聞いたところ、時系列が少し間違っていたので、文中、修正しました。
(チームが長期計画で再建するために
サラリー総額を減らそうとしていたという事実をコービーが知ったのは5/29、つまり、LAタイムス紙に“レイカーズのインサイダー”の発言について書かれた記事が掲載されたのと同じ日だったようです)

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