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2008年7月16日 (水)

適応する力

 取材したことを雑誌記事の予告編のつもりで随時アップしていくつもりだったのが、結局それどころでなくなってしまい、10日ほど更新が途絶えてしまった。こうなったら、この間のことは後まわしと開き直って、まずは本当に予告編の写真を。この話が雑誌に掲載されるのは少し先、8月売りの月刊バスケットボールの予定です。

P1280084s_2  このサイズだとわかりづらいかな(コンピューターから見ている人は、クリックするともう少し大きくなります)。写真の右のほうに、日本のバスケファンなら見覚えがある姿があるはず。そして、その横にはNBAファンなら見覚えがある姿も。ヒントは壁にかかっているバナー。月曜の写真です。

 種明かしは最後に。その前に、この2週間くらいの間で感じたことをひとつ。
 この夏、代表活動がないこともあって、日本人選手が何人かアメリカに出てきて、いろいろなところでバスケットボールをしている。寄せ集めのチームで、それぞれがアピールしようとしている中で、どうやって自分の持ち味を見せるのか。そういう経験って、実はすごく大事だと思うのだ。
 海を越えたこっち(アメリカ)から日本のバスケを見ていて思うのは、日本人選手の多くは、いつも同じチームで、いつも気心が知れたチームメイト同士、いつもきっちりと決められたフォーメーションの中で、整えられた環境の中でプレーしているということ。そうしないといけないという切迫感まであるような感じを受ける。夏のオフシーズンの間も何ヶ月もチーム練習を続け、確かにチームの連携はよくなるのかもしれない。でも、そうすることで、そういう環境でないと力を発揮できないようになってきているんじゃないだろうか。違う環境に適応する力が弱くなっているんじゃないだろうか。
 今回、日本人選手たちはボールの違いに慣れなかったり、英語がわからなくてコーチの指示がわからずに不安なままプレーしたり、チームメイトがパスをくれなくて思ったようなプレーができなかったり、相手の身体の大きさに戸惑ったりという経験していた。そういったいつもと違う環境、状況になったとき、すぐに力を出し切れないのは誰でもあること。大事なのは、そういった新しい環境にどれだけ早く適応することができるのかだと思うのだ。数日とかではなく、数時間、場合によっては数十分という単位で。
 これって、実は日本代表として海外に出たときにも役に立つ能力だと思う。海外の笛、海外のコート、相手チームに喝采を送る観客という、いつもと違う環境の中で、どれだけいつもの力が出せるのか。
 個人で海外に出てみると、そういう能力は自然と磨かれる。…というよりも、そういう能力がないと脱落していくような環境でもある。でも、必ずしも海外に出ないとそういう経験ができないわけでもないはず。
 そういえば、今回Dリーグのプレドラフトキャンプに参加した栗原祐太選手は、以前、「ストリートバスケットボールの中に自分が足りないもの、学ぶべきことがある」ということを言っていたけれど、それもひとつのやり方。「そんなところでやったことがない」と敬遠するのではなく、もっといろんな環境に飛び込んでほしいなと思うのだ。
(そんな話を、写真の選手ともしました)

P1280091s  さて。例によって、ピントが甘い写真ですみません。速攻からのドライブインをしてきているのは、UCLA出身、現レイカーズのポイントガード、ジョーダン・ファーマー。それをディフェンスしようとしているのは…そう、北海道レラカムイの桜井良太選手です。UCLAのジムでのピックアップゲームの一場面。竹内譲次選手も、アトランタやLAの別の場所で、こうやってNBAやNCAA選手に混じってピックアップゲームをして、アメリカを身体で感じたと言っていた。
P1280099s  ちなみに、写真を撮ることに必死だった私は、このあとどうなったのかを全然覚えていない(我ながらレポーター失格…)。たぶん、ファーマーが普通にレイアップを決めたんだと思うけれど…。ピックアップゲームで体当たりのブロックをするわけにもいかないしね。桜井選手に聞いたところ、本人も全然覚えていないらしい。…というか、これまでNBAをあまり見なかったという桜井選手、ジョーダン・ファーマーのこともあまり知らなかったというから、この場面でも相手がNBA選手だと気づいていなかったかも?
(正面からの写真が一枚もなかったので、最後に一枚。影ができてしまった失敗ショットでスミマセン)

【追記】
 日本では情報の先走り、混乱があるようなので、念のためにあらためて書いておくと、桜井選手が今回参加したのは、レイカーズのサマーリーグ前の練習(ワークアウト兼トライアウト)。結局、サマーリーグに行く前にカットされている。
 そして、このワークアウトに参加できたのも、某新聞に載ったように、「フィル・ジャクソンが水面下でオファーを出した」わけではない。レイカーズのスカウトの目に留まったというわけでもなく、はっきり言ってしまうと桜井選手自身の能力が認められたというよりは、間に入ってくれた人の推薦があったから参加できただけのこと。
 もっとも、当の桜井選手はそのあたりの現実はよく理解しているようで(あまり記事とか、まわりの評判とかは気にしないタイプらしい)、むしろ、今年はそこまでできるとは思っていなかったらしく、レイカーズの(サマーリーグの)トライアウトに参加できたことに驚いていたくらい。
 そんな話をしたときに桜井選手にも言ったのだけど、こういうチャンスって実は滅多に回ってくるものではない。挑戦一年目の今回参加できたからといって、次も同じチャンスをもらえるとは限らない。むしろ、最初の挑戦でダメと判断されてしまったら、二度とチャンスは巡ってこないことだってありえる。だからこそ、桜井選手にも、他の選手にも、こういう一回一回の挑戦を、二度と巡ってこないチャンスだと思って取り組んでほしい。そして、こういうチャンスをもらえたことがスゴイのではなく、この先、どれだけこの経験を生かして成長できるかで、選手としての真価が問われるのだということも忘れないで欲しいと思う。
 きのう話を聞いた感じでは、そのあたり、桜井選手はしっかり理解しているようだったので、次にまたアメリカで取材できる機会を楽しみに待つことにします。

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コメント

初めまして。

自分は水面下でオファー凄いなと見てましたが、多分
世界バスケでの活躍で推薦でしょうか?

自分は桜井選手は6.4くらいでSGしては小さく
ただ日本ではSFくらいいけそうです。

自分はLALは好きですが、桜井選手はかなりです、能力以外に多分問題では・・と思います。
ファーマーよりも潜在能力はたかいです。

何かの推薦でもLALに顔を知ってもらうシャンスですし
ただカットですか・・・残念です。

NBDLからの挑戦ならきっとできるはずです。

もっとウエイトをし幅をつけると攻撃に厚みが出るように
思います。
あーこういう取材がTVで見れればオフは楽しめるのに。

日本にはコンバート選手は余りいないですから、桜井選手も
日本でなくアメリカで挑戦して欲しいですね。

投稿: sai | 2008年7月17日 (木) 04時30分

これは個人的な意見なのですが、最近急激に日本人選手の意識が変わってきているように思います。アメリカに行くということが人生を投げうって行くような特別のことだったり、あるいは逆に記念碑的なものだったりするのではなく、自分のキャリアの中での一つの通過点としてある程度相対化できている人が増えてきているのではないかと。
それが良いことなのか悪いことなのかは分かりませんが、ただ身一つで行くのではなく、周到な心構えのもとに渡米するということは、自分の成功イメージを明確に持っているということにつながると思いますので、野球で実現できたように、今後世界基準でのスター選手が登場する日もそう遠くないような気がします。まあ、楽観的希望でもあるわけですがcatface

投稿: 機種依存 | 2008年7月17日 (木) 07時41分

最近は、個人レベルが高いです。
自分も弱点克服で練習してます。
弱点は練習で何とかできます。

きっと、AND1のストリートの影響、とTABUSE選手など
が大きいです。

もう今はただのシューターは要らないです。
何でも万能にならないと、コンバートプレイが必要です。

最近中学生の個人での練習を見て、もうスラムダンクを
越えていました、すこしバトルとはいえないですが
して、それから弱点を克服の練習をするようになり。

こんな事、書いていいのかな。

投稿: sai | 2008年7月17日 (木) 09時22分

>saiさん
いらっしゃいませ。

>世界バスケでの活躍で推薦でしょうか?

間に入って推薦してくれた人は常々、日本の選手にアメリカでの経験を積んで成長してほしいと思っている方なのです。もちろん、誰でも彼でも推薦できるわけではないでしょうし、推薦したからといってNBAチームが受け入れてくれるとは限りませんから、代表クラスの選手だということや、年齢、サイズとポジションは考慮されたかもしれませんが、世界バスケのプレーはあまり関係ないと思います。

報道されていないのであまり知られていませんが、実を言うと、過去にも桜井選手と同じように推薦でサマーリーグ前のトライアウトまでは参加した日本人選手は何人かいます。その中には、もっと経験や実績もない選手もいます。

何にしても、これだけのきっかけを作ってもらえることは有難いことであり、だからこそそれを生かすことができるかどうかは、その後の個々の選手次第だと思うのです。

>機種依存さん

>アメリカに行くということが人生を投げうって行くような特別のことだったり、
>あるいは逆に記念碑的なものだったりするのではなく、自分のキャリアの中での
>一つの通過点としてある程度相対化できている人が増えてきているのではないかと。

何年も前にはそういう考えで海外に出た選手もいたんですよ。たとえばアメリカの大学に留学していた岡山さんとか、アメリカのサマーリーグに参加していた外山さんや阿部さんとか、オーストラリアでプレーしたことがある後藤さんとか。あの世代の人たちは世界を近くに感じていたのか、意識も高かったのかもしれません。

別に海外に出るのに人生を投げ打つような覚悟をする必要はないと思うのです(※)。アメリカがだめだったとき、そのシーズンは日本に戻ってプレーできる場が最初から用意されていてもいいと思う。実際にバスケシーズン中に所属するチームがないというのは、アメリカにいても、日本にいても、選手にとってはつらいことですから。ただ、そういうことができるためには日本の所属チームやリーグがどこまで協力的かというのも重要ですよね。その意味でも、ここに来てJBL、bjともにシーズン途中加入が可能になったのはよかったと思います。

※まぁ、たとえば田臥選手にしても、別に人生を投げ打つという意識はないはず。単にアメリカのほうがやりがいがあると思うからアメリカに残っているだけのことだとは思います。

投稿: 陽子 | 2008年7月17日 (木) 14時10分

こんにちは。

そうなのですか。過去にあるのですか。

bjとJBLは同じリーグにすれば・・・いいのに。

TABUSE選手は大学で英語の勉強を自分は重要視し
むしろバスケットは後回しに考えたのでしょうか?
本は読みましたが、怪我がありコーチの疑問など
ただ英語を学んでそれがNBAにいけたのかな。

NBDLでは時間は貰ってないですが、安定した結果が出てますし、サマーリーグは毎年と思います。

この何年かはロスター入りは本当に惜しく、あと少しでした。


宮地さんMIAMIのJWILLは取材の機会などございましたか?
最近は安定したプレイで、その中にルーキーのトリックが
あるので好きですが。


投稿: sai | 2008年7月17日 (木) 14時56分

はじめまして。

投稿するのは、初めてですが

陽子さんの日記を毎回楽しく読ませていただいてます!!

JBLアイシン所属の柏木真介選手について質問です。

彼もサマーリーグに参加すべく渡米してますが、

現在どのような状況でしょうか?

ご存知でしたら宜しくお願いします。

投稿: ほやって | 2008年7月18日 (金) 00時17分

お忙しいところ丁寧なお返事ありがとうございます。
私は少し一面的な見方をしてしまっていたようです。
なるほど色々な方が色々な形でこれまでも世界と関わってきていたのですね。

私も日本のチームとリーグは進んで優秀な選手を送り出し、サポートするような姿勢を打ち出していってほしいと思います。
そうすることで短期的には優秀な選手を呼び込む効果もあるでしょうし、長期的には色々な形でビジネスとしてのうまみも出てきますよね。

8月発売の記事も楽しみにしております。

投稿: 機種依存 | 2008年7月18日 (金) 06時17分

◎>saiさん

>TABUSE選手は大学で英語の勉強を自分は重要視し
>むしろバスケットは後回しに考えたのでしょうか?

どうしてそう思われたのでしょうか?
実際には、当時の田臥選手の中ではバスケのほうが優先順位は高かったと思います。アメリカの大学は学業(英語も含めて)がある程度できないとバスケもできないというルールがあるので、そのあたりで英語を重要視と思われたのかもしれませんけれど。

>宮地さんMIAMIのJWILLは取材の機会などございましたか?

最近は取材する機会がありませんが、ジャパンゲームで来日した前後には何度か取材しましたヨ。

◎>ほやってさん

いらっしゃいませ。

>JBLアイシン所属の柏木真介選手について質問です。
>彼もサマーリーグに参加すべく渡米してますが、
>現在どのような状況でしょうか?

柏木選手に関しては、アイシンのほかの選手とともにアメリカに来るという話は聞きましたが、その後の動向は知りません。

渡米の時期から考えると、サマーリーグだとしても、NBAのサマーリーグではないと思います(これまでに一度もワークアウトやトライアウトに参加したことがない日本の選手が、サマーリーグの直前にNBAチームのサマーリーグ・ロスター入りするるというのは現実的ではないので)。NBAのサマーリーグのほかにも、全米各地では、大学選手も混じったプロアマの大会などいろいろなサマーリーグが行われていますので、サマーリーグだとしたら、そういう大会かもしれません。

あるいは、各地でいろいろなコーチが公やプライベートのワークアウトを行っていますので、そういったところに参加したのかも(柏木選手のブログにも「キャンプ」とあるので、こっちかな?)

投稿: 陽子 | 2008年7月18日 (金) 17時30分

陽子さん御返答ありがとうございます。

NBA主催以外にも沢山のサマーキャンプ/ワークアウト
が行なわれているんですね。そして、それだけの選手達が
HOOPDreamを掴む為に戦ってるんですね…
アメリカ強いはずです!!

柏木選手も今後の成長が楽しみですね!!


投稿: ほやって | 2008年7月22日 (火) 17時24分

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