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2008年8月21日 (木)

準備期間

 北京オリンピックも終盤。女子は先ほど準決勝が終わり、男子も明日が準決勝。 "Redeem Team" こと男子アメリカ代表、ここまでは、予想通り、圧倒的な強さを見せて勝ち抜いている。

 ところで、今回のアメリカが強い理由のひとつとして、「4年前よりもずっと練習を積んできているから」と言われているけれど、それならいったいどれくらい練習したんだろうって思っている人もいるのでは? 読み進む前に推測してみてください。参考までに、4年前のアテネ五輪のときの準備期間は20日だった。

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  実は、アメリカ代表が今年に入ってから北京オリンピックまで準備に費やしたのは僅かに24日。そう、アテネ前とほとんど変わらないのだ。そして、これは正確には「練習期間」ではなく「チームとしての活動期間」の日数。つまり、6月のNYでの取材日や、中国への移動日、練習がオフになった日、そしてオリンピック前のエキジビションゲーム(5試合)の日も含まれているので、実際の練習日はこの半分強。他国の準備期間がどれくらいだったのか調べていないけれど、これが世界でも少ないほうであることは間違いない。

 たとえば、去年のアジア選手権前の日本男子が大会前に予定していた合宿(1次~12次)の日数を数えたら69日だった(あくまで予定からの計算なので、実際に何日練習したかは未確認)

 それでは、何で「今回は練習を積んでいる」といわれるのか。それは、3年連続して同じコーチ、同じ主力選手でチームを組んでいて、去年や2年前の練習や大会での活動期間も北京オリンピックに向けての準備期間という考えだから。今年だけだと24日間だけど、2年前の活動期間(キャンプ+世界選手権=42日)、去年の活動期間(キャンプ+アメリカ大陸予選=24日)を加えれば全部で90日間準備してきたことになるのだ。
 練習期間の短さを継続性で補っているわけで、当然ながらアルゼンチンやスペインのように大会前の練習期間も長く、さらに3年以上主力を変えずに戦っている国の準備期間とは比べものにならない。

 ちなみに、オリンピックのためにWNBAシーズンを中断している女子の場合は、大会直前の準備期間はさらに少なくて約10日間だった。WNBAシーズン前の3月と4月にも代表キャンプ+試合をしているけれど、ダイアナ・タラシらヨーロッパのリーグでプレーしていた選手たちは参加していないので、どちらかというと選手選考のための期間と考えたほうがいいだろう。

 とはいえ今後、少なくとも近い将来は、アメリカ代表が大会前に取る練習期間が極端に増えることはないと思う。NBA82試合+プレイオフという長いシーズンを戦った選手だけで構成されている米代表にとって、これ以上練習期間を増やすことは、むしろ大会に入ってから選手が疲れたり疲労から怪我が出たりといった原因になってしまう。実際に2年前の世界選手権のときは、米代表の上層部では練習不足よりも選手の疲労が問題視されていた。大会前に中国や韓国に寄ったときに、長い時間をかけてバスで米軍基地に行ったりという過密スケジュールで、大会前に疲労がたまってしまったらしい。
 NBA選手が数人というチームならシーズンが長いNBA選手だけあとから合流すればいいけれど(実際に途中から代表チームに参加している米国外のNBA選手も多い)、全員がNBA選手のアメリカではそういうわけにもいかない。選手に3年間の参加を求めるならなおさら。

 そういう状況だけに、限られた時間の中で何を優先的に練習するのかを見極め、実行するのもコーチの大事な役割であり、手腕の見せ所だ。コーチKはオフェンスでは選手のクリエイティビティ、能力に任せて、あまりガチガチのフォーメーションを取っていない。その分の時間をディフェンスの連携プレーや、対ゾーンの練習にあてていた。たとえば、7月後半のラスベガスでのキャンプ4日間のうち1日は、練習相手のセレクトチームに徹底的にピック&ロールのオフェンスをやるように指示し、そのディフェンスの練習。また、別の1日は同じくセレクトチーム相手に徹底して対ゾーンの練習をしていた。期間より効率重視というわけだ。

 今はまだ強さの陰に隠れていてあまり見えてこないが、アメリカに脆さが残っていることは間違いない。個々の能力は高く、そして3年継続することでFIBAルールの理解やチームメイトとの連携などの面で以前よりは前進しているとは言うものの、やはりまだチーム・オフェンスの緻密さには欠けるし、1対1に頼ってしまう場面も見られる。 それでも、無理して練習期間を長くしてプログラムが崩壊するよりは、3年継続のプログラムを持続させることをアメリカは選んだ。そのやり方が正しかったかどうかは、次の2試合ではっきりする。

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