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2008年10月16日 (木)

川村卓也から見た田臥勇太(2)

 きのうの続き。

■レールを外れる
 田臥選手と川村選手、かなり大きな共通点がある。それは、二人とも高校→日本の大学という、日本のバスケ選手としてはごく一般的な道を選ばなかったということ。田臥選手は高卒と同時にアメリカの大学に進み、川村選手は高校を出てすぐにJBL(OSG)に入った。そうやってレールを外れることって、すごくエネルギーがいることだと思うし、二人とも、それだけ意思の強さを持っているのだろうとも思う。

 そういう話をしたときの川村選手の言葉をいくつか。
「でも、ちょっと言い方も悪いんですけれど、JBLに行くのとアメリカに挑戦するのではレベルが違うじゃないですか。高校で、あのときの気持ちで海外に行くとなると、相当な心構えがないと行けないんじゃないかなって思います」
「(高校からJBLに行くのは)僕は本当に不安でしたね。どういう社会なのかもわからないし、自分のバスケットが通用するのか、そういう不安はあった。それを考えたら、(田臥選手は)その何十倍の苦痛をたぶん味わってきている。それが今となっては彼の経験となっているので。誰にも経験できないことを彼はしている」

 とはいえ、そうやって人と違う道を歩くということは、まわりからの目もそれだけ集まり、厳しいことでもある。周りの目はあまり気にならないほうなのだろうか?
「初めは、(まわりの目も)気になりましたよ。ウブだったんで(笑)。そのときは、すごい批判の声もあったりだとか、あいつは絶対にやっていけない、一年でやめるみたいな感じでは言われたんで、それだけは絶対に俺は嫌だと思って。とりあえず、一年目にちゃんと試合に出て、自分の力で勝ち取ってコートに立てば、まず、少数ではあるけれど、そういう見方が変わるのかなっていう風にも思った。あと、第三者が認めるっていうのは、数字だったりとか、結果なので、それはやっぱり自分が残していかなきゃ認められないことなんだなって。いくら大口叩いたって、結果がだめだったら誰も認めてくれませんから」

■圧倒的な数字
 奇しくも、川村選手から「大口を叩く」という言葉が出たけれど、帰国してから何度も繰り返し報道される田臥選手の例の言葉。田臥選手が、その言葉にこめた思いについてはナンバー記事でも詳しく書いたのだけど、彼も川村選手が言うように、言葉に出したからには結果を出さなくてはいけないという思いを持ってやっているのだ。
 それでは、川村選手は田臥選手が「圧倒的な数字を残します」と言うのを聞いて、どう思ったのだろうか。
「彼らしいっていう感じじゃないですかね。やっぱり自信に満ち溢れている…っていうよりも、自分に自信があるんで、たぶん自然に出るんですね」

 実は以前は、田臥選手もそういうことは口に出して言わなかったのだということを伝え、川村選手からも、そういった強気のコメントが聞かれるかと思っていたと言うと…
「(田臥について)そうなんですか。それが経験(から得た自信なんでしょうね)。日本では通用するっていうのが自分でわかっているんですよね。
 僕は謙虚ですから。そのへんは勇太さんに任せます。僕はまだ、自分よりすごい上のシューターがいると思っているので、その人を蹴散らしてから言います。何年後かに…早ければ来年言います」

 謙虚だといいながら、「早ければ来年」という言葉を最後に言うように、謙虚と強気、不安と自信の両方が垣間見えて、なかなか興味深い話でした。
 今回は、田臥選手に関する記事のための取材ということで、川村選手にも(最初にそう断った上で)田臥関連の質問ばかりをぶつけてみたのだけど、田臥のことを語りながら、その言葉の端々に川村選手自身が見えてきて、なかなか、面白い取材でした。川村選手、どうもありがとうございました。

 ブレックスの話はもう少し続きます。

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コメント

Numberの記事、読ませていただきました。
川村のことも出ていて「おっ」と思い、さらにブログを拝見したら、このインタビュー記事、とてもうれしかったです。ありがとうございます。

川村選手はコートの上のプレーもその言動も、飽きさせないというかワクワクするというか、見ていて何かを期待してしまう選手だと思います。
実際、多くの場面で期待にこたえてくれますしね。
田臥との出会いが彼をさらなる高みへいざなってくれることを期待しています。
宮地さんにも今後もあの強気なシューターをフォローしていっていただけたらな、と思います。

投稿: 機種依存 | 2008年10月20日 (月) 05時22分

JBLに行くのとアメリカに挑戦するのではレベルに違いがあることを証明したようなシーンが、スポーツニュースで見れました。

五十嵐@日立との初対戦(10/12)を時間を割いて紹介していたのですが、何シーンか両者が競り合う場面が流れました。d

限られた場面だけでしたが、早さ・うまさは五十嵐を相手にしていない状況で、日本でプレーした田臥を知らない息子も「ぅわぁっすごい!」と感嘆。

「試合に勝って、勝負に負けた」という何故か五十嵐のインタビューだけが使われましたが、全てを物語ったように思います。

現時点でstats leaderとして、田臥がアシスト2位、川村がポイント2位、2人同率でスティール2位と、田臥の宣言とおりとなっていますので、これから楽しみです。

ブレックスの話のつづきも、楽しみです。
NUMBERは発売日に購入しましたよ。
「正解かどうかはわからない」と、前の書き込みに突っ込んで戴いたのは伏線だったのですね、タネ明かしありがとうございました。

投稿: kawashiman | 2008年10月20日 (月) 18時58分

>機種依存さん

日本のバスケは実際に試合を見たり、選手に取材する機会がなかなかないもので、今回のような機会は私にも貴重で楽しいものでした。

強気な選手、私はけっこう好きなんです。ただし、その強気を裏づけするだけの努力をしているということが絶対条件ですけれど。そういう意味では、川村選手もこの先が楽しみ。代表としてでも個人としてでも、ぜひ世界の舞台をたくさん経験してほしいなと思います。

>kawashimanさん

五十嵐対田臥のマッチアップ、私も見てみたかったです。

「正解かどうかわからない」は、私自身が考えていたことだったのですが、その後、田臥選手と話していて、彼も同じことを考えて決断に至ったということがわかり、記事でも引用したのでした。もしかしたら、以前にそういう話をしたことがあったのかも。まぁ、言ってみれば、Never Too Lateの言葉も、元をたどれば同じような意味合いでもあったわけですけれど。

ブレックスの話の続き、遅れていてすみません。土曜から明日まで、5日間で6試合の取材が入っているもので、なかなかブログまで時間がまわらないのですが、NBA開幕までには書くつもりです。

投稿: 陽子 | 2008年10月22日 (水) 00時20分

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