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2009年7月24日 (金)

Second City

P1070525s  今週は、懐かしのこの街(左)に来てます。目的は、オバマ大統領に会うため…のわけもなく、ピザや焼肉(*)を食べるためでもなく(両方とも食べたけれど)…。

  本当の目的はAttack Athleticsでワークアウトをしている竹内譲次選手の取材+トレーナーのティム・グローバーの取材。そう、懐かしの街とはシカゴです。

 譲次選手のブログにも、少し前に説明があったので知っている人もいるかと思うけれど、一応書いておくと、Attack Athleticsは、元マイケル・ジョーダンのトレーナーで、現在はコービー・ブライアント、ドウェイン・ウェイドなど多くのNBAトッププレイヤーをクライアントに抱えるティム・グローバーが経営するトレーニング施設。
 以前、ジョーダンがウィザーズで復帰する前にワークアウトしていたのは、Hoops the Gymという体育館だった。これもコートが4面ある立派な施設だったのだけど、すでに建っていたジムを買い取ったため、ウェイト・トレーニングの部屋が狭かったり、不便することも多かったようだ。そこで、ティムは2年ほど前に専用の施設を建設。それが、今回、譲次選手がトレーニングしているところだ。
P1070751s  バスケットボール・コートが4面あるほか、様々な器具が置かれた広いウェイト・トレーニング・ルームがあり、スキル・コーチからストレンス・コーチ、メディカル・トレーナーまで、バスケットボール選手がトレーニングで必要なものやスタッフが揃っている。コートもウェイトルームも広々と使えて贅沢な環境だ。最近では、バスケットボール選手だけでなく、フットボール選手や野球選手たちもここでワークアウトをするようになったようで、きょうも、譲次選手がシュート・ドリルをしていた2つ隣のコートでは、NFL選手たちが重いメディソンボールを使ったトレーニングをしていた。
P1070591s  もちろん、今回の譲次選手も含め、ここでトレーニングする選手たちはみんな、その環境やサービスに見合った料金を払っているわけだけど、アメリカではNBA選手だけでなく、大学生選手たちも、こうやって自己投資してトレーニングすることが珍しくなくなってきている。

 ちなみに、譲次選手、ティムが書いて日本語版も出版されている「ジャンプ・アタック」の本を高校の頃に読んだことがあったらしい。あの日本語版の出版は私も仕事として手伝ったこともあって、しみじみと時の流れを感じてしまった。と同時に、これまでやってきた仕事が今に繋がっているような感覚を持つことができて嬉しかったな~。

 代表活動が続いている時期に、トレーニングのためとはいえ、途中で抜けていることに対しては賛否両論があると思う。チームでやることを大事にする日本だけに批判の声もあるかもしれない。譲次選手も、もちろんそういったことは承知の上で、それでも、これが今の自分、そして今後の代表チームにも必要なことと判断して、この3週間、シカゴでトレーニングを続けてきたという。
 チームの連携を高めていくことももちろん必要だと思うし、体格的に劣る日本にとっては勝つためには必須なのかもしれない。でも、フィル・ジャクソンがブルズのHCだった頃によく言っていたように、「群れの強さはオオカミであり、オオカミの強さは群れ」(原典はラドヤード・キプリングの「続ジャングルブック」)なのだ。これを日本代表に置き換えると、「日本代表の強さは日本人選手であり、日本人選手の強さは日本代表」。群れ(チーム)としてまとまるから強い、という部分は理解しやすいかもしれないが、注目は個々の狼(選手)の強さが、群れ(チーム)になるという部分。つまり、個々が強くなければ、全体も強くなれない。そのためには、時に個が群れを飛び出ることも必要なんじゃないかと思うのだ。最近、ラスベガスとシカゴで続けて日本の選手を取材していて感じたことでもある。

 さて、譲次選手、右の写真では、ワークアウトP1070607s_4の 合間で若干メローな雰囲気(?)をかもし出しているけれど、実際には毎日、午前と午後の2回練習(週に4日は、午前の練習の後にウェイトも)をアグレッシ ブに頑張っている。そのハードワークぶりに、ここで働くスタッフからも「この施設はいろいろと揃っているけれど、それを有効活用しない選手もいる。そんな中で、君の毎日の頑張りに、僕らスタッフは元気をもらった」と言われたほどだった。さて、その成果やいかに。まずはアジア選手権。ちなみに、今週の取材中、譲次選手と朝と昼の練習前に会って最初にする会話のひとつは、その日のジョーンズカップでの日本戦のこと。毎日、日本協会のジョーンズカプサイトでで結果チェックしていたようです。

* (補足1)シカゴ・ピザは有名だけど、なぜシカゴで焼肉?と思う人のために補足。シカゴには、かつて住んでいた頃によく通っていた、シカゴ・カルビという焼肉屋さんがあるのです。美味しいのと、夜遅くまで営業しているので、日本人大リーガーの間でも大人気…というのは有名な話だけど、実はバスケ選手もけっこう行ってます。日本人選手だけでなく、スコティ・ピッペンやスティーブ・カーも。田臥選手も、かつてNBAに入る前に行ったことがあるのだけど、そのときは、色紙は「NBA選手になったら」なんて言いながら、書かなかった覚えが。譲次選手は今回、サイン色紙を書いてきたので、壁に飾られているかも。

(補足2)タイトルのSecond Cityは、シカゴの街のニックネームです。

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コメント

非常に面白い内容でしたね。実は僕も、同じ様な経験をメルボルンで経験しました。

私は、当時OZ・韓国系OZ・ベトナム人・ドイツ人(旧東ドイツ出身)達と、某日系企業のシステム開発を約1年開発していました。人種・文化の違いでめちゃくちゃもめました。

OZ達の言い分は、自分の作業をこなすのが一番と考えてました。日本・韓国・ベトナム系は、チームなら全員で統一してやるべきと考えてました。

ここで、チームという意識が全く違うと思いました。例えば、10人いたら、OZ達は、「1*10」がチームと考えてます。1の事出来ない人間は、チームに必要ないと考えてます。

我々は、勿論「1*10」が理想だけど、「1.4*5」と「0.6*5」をたして、10になると考えてしまいます。正直最初は、OZの人間に対して、受け入れられないという思いがありました。でも、時間がたつにつれて、チームの考え方というのは、彼らの言い分の方が、正しいのではないかと、思いはじめました。やらないといけない事を、人の手を借りずに、完結する事だけに集中してやれば、一見個人主義に思えるかも知れないけど、全体的にはチームに貢献してるという事になりますよね。現在は、人の手を借りないのが、最大のチームプレーだとおもいますね。「個人の集まりが集団。」個が先にあるべきなんでしょうね。

例えば、一人は1.4出来て、もう一人は0.6しか出来ないのは、合計すれば2になるけど、0.6の人間はやはり必要ないんでしょう。
それが、フィルジャクソンのいう、「群れの強さはオオカミであり、オオカミの強さは群れの強さ」なんでしょうね。狼は単独でも強いですからね。その上、結束力がる。わかる気がしますね。

僕は、今回の竹内選手の決断は、賞賛に値すると思いますね。当然外野はいろいろ言うだろうけど、自分で責任持った行動を出来るだろうし、手ぶらで代表には戻れない。他の代表メンバーに納得いくものを見せないといけない。結果的に代表にとって、いいのか悪いのか、わからないですけど、こういう決断をしたという事だけで、賞賛に値すると僕は思います。

投稿: 増田康幸 | 2009年7月27日 (月) 17時32分

>増田さん

確かに、こういったことに対する考え方は育った環境が大きく影響しそうですね。

今回、譲次選手といろいろ話してみてわかったのは、彼もこの決断を下すまでにいろいろと考えて悩んでいて、決して安易な気持ちで選んだ道ではないということ。最後のところは結果を出して示すしかないということも理解しているということ。何にしても、本人がそれを意図したかどうかは別にして、代表活動のあり方に一石を投じた形になったではないかとは思います。

投稿: 陽子 | 2009年7月28日 (火) 00時28分

代表というのは、時間に限りがあるし、基本個人のスキルアップは、自分でするしかないと思いますけどね。サッカーの元日本代表、中田英も、代表でのカップ戦の決勝を辞退して、当時の所属チーム、イタリア(セリエA)・ローマの優勝のかかる試合を優先しましたよね。僕は正しい判断だと思いました。竹内選手は、今の日本で一番大事なのは、中途半端な形で代表に参加するより、自分のスキルアップが、強いては代表に繋がると考えたんでしょうね。今スキルアップして、努力して、その先に世界選手権・五輪があると考えたんですよね。素晴らしいと僕は思いますね。これこそ、チームプレーだと僕は思いますね。

投稿: 増田康幸 | 2009年7月29日 (水) 09時26分

>増田さん

このあたりの、個人練習とチームでの練習の話はまた日をあらためて書きますね。日本人選手たちを取材してきて、思ったことや、疑問に思ったこともいろいろあったので。

…と自分で宿題ばかり増やして、なかなか追いついていないのですけれど(笑)。NBAファイナルの話も、あとから書くと言いながら、いまだにできていないし…。(万がいち、期待して待っている方がいらしたら、すみません)

投稿: 陽子 | 2009年7月29日 (水) 16時02分

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