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2009年11月の記事

2009年11月28日 (土)

シンデレラ?

 本題の前に。トップページや掲示板にも書いてますが、twitterでの発信を始めました。ブログの右にも最新のエントリー3つを表示していますが、短い文章なので、連続して4つ以上書き込んでいることもあります。もっと見たいという方はtwitterのサイトで見てくださいね。

* * *

P1280819s  伊藤大司選手が所属するポートランド大が、11/26からアナハイムで行われているホリデー・トーナメントのひとつ、"76 Classic"でメジャー・カンファレンスのチームや全米25にランク入りしているチーム相手に連勝し、NCAAファンや関係者から注目を集めている。何しろ、1回戦では今季の戦力はダウンしているとは言うものの、準地元の名門UCLAに74-47の圧勝(メディアの中からは「"massacre"(虐殺)だ」との声もあったほど圧倒していた)、2回戦(準決勝)ではESPN/USA Todayランキングで18位、APランキングで22位のミネソタ大相手に試合開始から終始リードを取り、61-56の勝利をあげたのだ。大会前週にPAC10のオレゴン大にも勝利していて、これでシーズン開幕から5連勝。全米的にはあまり知られていない無名のポートランド大の金星に、早くも「シンデレラチーム」と評する声も出ている(個人的には、シーズン序盤のこの時期に「シンデレラ」の称号は早すぎると思うのだけれど)。

 面白いのは、まわりのそんな盛り上がりに対して、ポートランド・パイロッツの選手たちが思ったほど浮かれていないこと。もちろん、試合に勝ったことには喜んでいるけれど、その一方で、「勝って当然」と言うような静かな自信が感じられるのだ。決して傲慢なのではなく、ただ単に自分たちのチーム、自分たちのプレー、自分たちがやってきた練習に自信を持っている、という感じ。

 ミネソタ大に勝った後の記者会見でこんな場面があった。ミネソタ大に勝ったことで、月曜に発表する最新版ランキングで全米トップ25入りする可能性が高いことについて聞かれたロビン・スメルダース(#12)、表情を変えることもなく、「それだけのことをしてきたから(ランク入りしても)驚かない」と言ったのだ。これには隣に座っていたTJ・キャンベル(#44)も思わず苦笑していた。でも、これが今のパイロッツの選手たちの本音でもある。その話を伊藤選手にしたところ、彼も笑っていたけれど、でも、それが今のチームのメンタリティだとも言っていた。ランク入りの強豪相手でも勝てるだけの練習をしてきたという自負があるのだ。テレビ放映で映していた試合前のロッカールーム風景でも、エリック・レベノHCが、「きのうのUCLA戦P1090350sの勝利も君たちは自分たちの力で勝ち取った。きょうの試合も、この先のシーズンも自分たちで勝ち取るんだ」とスピーチしていた。
#ちなみにレベノHCはかつてJBLの日本鉱業でもプレーしていたことがある。彼がポートランド大のHCになって今季が4年目。低迷していたチームを4年でこれだけのチームに作り変えた彼の手腕はすばらしい。これだけの結果を出していると、近いうちに強豪校に引き抜かれるんじゃないかな(伊藤選手が卒業する前でなくてよかった)。レベノコーチがチーム作りの哲学などを語っている映像がありましたので、参考まで。

 試合を見ていても、4年生中心の経験豊かなチームらしく、とにかく慌てない。ミネソタ・ゴーファーズ戦では後半が始まってすぐと、試合終了間際に相手に流れがいったと思ったときがあったけれど、どちらのときも自滅することなく、きっちりと入れ返して流れを抑え、呼び戻していた。ベテランのチームだけに、色々なことに対応できるようで、試合中、それまで一度もやったことがないプレーをタイムアウト中の指示だけでこなしたり、それほど練習していなかったというゾーンディフェンスを効果的に使ったり。こういうところで4年間の継続性というのが出てくるんだなぁというのを実感。4シーズン前の、全然勝てないチームから見ていただけに、こんな試合を見ることができたのは感無量。

P1090328s  さて、そんな中でこの2試合、伊藤選手がどんなプレーをしていたのか気になる人も多いですよね。控えポイントガードとしての出場で、 UCLA戦は12分出場、アシストとファウルが1つずつ。ミネソタ戦も12分出場でファウル1つ。スタッツに残るプレーはほとんどしていないのだけれど、スランプだった昨シーズンに比べるとずっといいプレーをしてチームに貢献していた。スタッツで0が並ぶということはターンオーバーも0ということで、これは控えのPGとしては重要。伊藤選手がボールを持っていると見ていても安心できます。3年連続でチームメイトの投票でキャプテンに選ばれているように、チームメイトからの信頼は厚く、リーダーシップは抜群。大学最後のシーズン、NCAAトーナメント出場という目標を達成できるように、彼らしいプレーで悔いのないシーズンを送ってほしい、と思う。 

 76 Classicも明日が最終日。決勝の相手は、ESPN/USA TodayとAPのどちらでも8位にランクインしているウェストバージニア。アメリカでは19時(PST)からESPN2で放映されます。

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2009年11月 8日 (日)

プライドとホンネ

 金、土は、グリズリーズ@レイカーズ、グリズリーズ@クリッパーズの連戦の取材でステープルズセンターへ。
 金曜の試合前と試合後には故障から復帰し、ようやくグリズリーズのユニフォームでのデビューを果たしたばかりのアレン・アイバーソンを取材した。相変わらず本音満載で、不満もストレートに語っていたのだけれど、その一方で、アイバーソン自身、自分のプレータイムや先発かどうかという話ばかりでうんざり、話すならもっとチームについて話したいとも言っていた。アイバーソンのチーム内での立場や役割がもう少しはっきり見えてきたら、そういった話もできるのかなと思っていた。
 ところが、土曜の試合に行ってみると、グリズリーズのロッカールームにもベンチにもアイバーソンの姿はなし。グリズリーズによると、個人的な理由でチームから許可を得て、一時、アトランタにある自宅に戻ったらしい。グリズリーズのオーナーによると、プレイタイムや先発問題での不満とは関係なく、本当に個人的な問題があってのことだというのだけれど、前日のロッカールームでメディアに囲まれて本音をぶちまけ、それがニュースとなった直後だけに、その説明に懐疑的な声もある。そして、グリズリーズでのキャリアはこれで終わりなのではないかと言う人すらいる。
(私的な推測では、おそらく、何か個人的な問題を抱えているというのは嘘ではないと思う。チームの状況や自分の立場がいろいろな面でもっと良好なら、多少無理してもチームに残っていたのかもしれないけれど、今はむしろ残る理由が見つけられなかったのかも)

 金曜日、グリズリーズのロッカールームで、アイバーソンの言葉を聞きながら、つくづく、この人は本音で語るしかできない人なのだなぁと思っていた。もっと本音を隠したり、オブラートで包んで語ればものごとは潤滑に進むのだろうけれど、プライドがあるからこそ、それができない。誰だって心の中に持っているような不満を、全部ストレートに外に出してしまうのだ。
 自分の能力を発揮できるような場、状況でやりたいという気持ちは、おそらく、他の選手でも、そしてまったく別の世界で生きている人でも、多かれ少なかれ持っている感情なのではないかと思う。アイバーソンと同じように、それができないぐらいならやめたいと思う人も多いのではないだろうか。多くの人は衝突しないように言葉を飲み込み、やめる勇気もなく我慢して続ける道を選ぶのだけれど、アイバーソンはそうではない。
 そのやり方は大人ではないという人もいるかもしれない。バスケを続けたいなら、少しぐらい我慢するべきという人もいるかもしれない。でも、そうやって常に本音でぶつかるのがアイバーソンの生き様でもあり、多くの人をひきつける魅力でもあるのだ。
 そして、注目される存在だけに、その本音は常に大ニュースとなり、アイバーソン自身の道を狭めてしまう。シーズン前にナンバーのコラムでも書いたように、あれほどの才能がありながら、結局、グリズリーズしか選択肢がなかったのだ。そして、そのグリズリーズでさえ、今、彼の居場所がなくなりつつある。

 決してほめられたやり方ではないし、不器用だとも思うけれど、一方で、そんなアイバーソンのことを簡単に批判はできない、したくないと思う自分もいる。

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2009年11月 4日 (水)

リング・セレモニー

 NBA開幕。…って、もう1週間以上過ぎてしまったので今さらの話だけれど、これだけは書いておかなくては。

 10/27、レP1280746sイカーズの開幕戦の日、レイカーズの元アシスタントコーチでトライアングル・オフェンスの生みの親、テックス・ウィンターが久しぶりにLAに戻ってきた。
 去年4月に心臓発作で転倒。その後、健康は回復したものの、言語障害で言葉が出てこない状態が続くなど後遺症があり、オレゴンの自宅でリハビリの日々だと聞いていた。それだけに、開幕戦のリングセレモニーで優勝指輪を受け取るために来ると聞いて、もしかしたら車椅子での登場なのだろうか、とか、話はできるのだろうか、と少し心配だった。
 開幕戦前、取材のためにレイカーズのロッカールームにいたところにテックスが登場。思っていた以上に顔色もよく、息子さんがついてきていたけれど、特に支えられないと歩けないというわけでもなく、しっかりとした足取りで自分で歩いていた姿にほっとした。言葉も障害があったとは思えないぐらい回復していて、短い挨拶ながら、しっかりと言葉を交わすことができた。

 試合前のリング・セレモニーではテックスの名前が呼ばれず、どうしたのかと思っていたところ、3Qと4Qの間のインターバルのときに左右2人ずつのレイカーガールにエスコートされてコートに登場して、単独でリングセレモニー。テックスの足下を考えてのエスコートだったのだろうけれど、そんなことは感じさせないようなエレガントなやり方でお見事。
 デビッド・スターンから指輪の箱を受け取り記念撮影するだけの簡単なものだったけれど、スタンドのファンだけでなく、レイカーズのベンチからコーチ陣や選手たちも見守り、拍手を送り、みんなテックスが元気になったことを喜んでいるのが伝わって、短いながらも心温まるセレモニーとなった。
 あとから聞いた話では、本当は試合前に他のコーチや選手たちと同じときに指輪を受け取るはずだったのが、どの順番にテックスをもってくるのか、最初がいいか最後がいいかと動かしているうちに漏れてしまったらしい。そこで、急きょ、3Qの後にテックスだけ単独で持ってきたのだとか。怪我の功名で心に残るセレモニーとなった。

P1280718s

 試合前のセレモニーも、レイカーズらしいセレモニーだった。チームがLAに移って、今回が10回目の優勝ということで、過去9回の優勝チームのメンバーからそれぞれ1人ずつ、元選手が代表して登場。現チームのコーチや選手たちは指輪を受け取った後に、この9人のレジェンドたちと握手を交わしていた。
 ちなみに、登場した9人は、ジェリー・ウェスト(1972年)、ノーム・ニクソン(1980年)、ジャマール・ウィルクス(1982年)、ジェイムス・ウォージー(1985年)、マイケル・クーパー(1987年)、マジック・ジョンソン(1988年)、AC・グリーン(2000年)、リック・フォックス(2001年)、ロバート・オーリー(2002年)。カリームはレイカーズのアシスタントコーチとして、昨シーズンの優勝指輪を受け取ったので、レジェンド側には入らず。

 試合後、ロッカールームで何人かの選手に指輪を見せてもらったのだけれど、指輪はもちろんのこと、指輪が入った箱もすごかった。ふたを開くとふたの裏側についたライトが自動的に点灯して指輪を照らし、指輪が乗った台が回転するのだ。
 指輪にも色々と工夫がされていて、まわりを囲む大きなダイヤはレイカーズ15回目の優勝ということで15個で、台も、ふつうアメリカで使われる14金ではなく15金。さらに横から見た形はホームコートのステープルズセンターの外観を模している。

指輪の詳細&写真

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