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2010年12月 1日 (水)

日本代表の“新しいカルチャー” (2)

 お久しぶりです。気づけば、ブログもHPも3ヶ月以上、放置してしまってました。どうも、ツイッターと原稿で自分のoutput機能(?)がmaxに達してしまっていたようで…。さらに、前回のポストで(1)とつけてしまったことで、他のことを気軽に投稿しづらくなってしまったり…。と、まぁ、言い訳はこれぐらいにして、本題に。

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 3ヶ月も間があいてしまっている間に、今年の日本代表の活動(女子の世界選手権、男女のアジア大会)も終了。結果は、目指していた目標には到達できなかったものの、それでも女子の世界選手権での頑張りや、男子のアジア大会での戦いぶり(こちらは映像では見れていないので、話に聞く限りでは)は、先への希望が感じられるものだった。

 何よりもよかったと思うのは、アジア大会が終わった後に、何人かの選手がブログに、このチームで代表として戦ったことを誇りに思う気持ちや、次こそはという気持ちを表していたこと。それの何がいいって、代表チームとして継続していける、積み重ねていけるということが感じられる言葉だから。

 そこで(1)からの続き。ウィスマンHCが「日本代表のカルチャーを作りたい」と言ったあの言葉をもう一度思い出してほしい。ここで言う“カルチャー”とは、伝統、習慣、やり方をひっくるめたような意味合いだと前回、書いた。ということは、この言葉には、今年の活動が終わって全部が終了、来年はまた新たに始めるというのではなく、今後も継続し、今年の経験の上に積み重ねるという意味もこめられているはずだ。

 (1)では海外挑戦を認め、海外から戻ってきた選手を積極的に受け入れるということだけに焦点を置いて書いたたけれど、ウィスマンHCとしてはそれだけを“カルチャー”と呼んでいるわけではないと思う。日本代表としての継続性を持たせることも大事な“カルチャー”。継続していれば、海外挑戦で途中抜けた選手も、戻ってきたときのチームへの適応時間が少なくてすむ。海外挑戦を認めるためには、チームの継続性は不可欠なのだ。

 それでなくても、夏の限られた時間だけしか活動しない代表チームの強化にとって、継続性はとても大事だ。選手の入れ替えをしないという意味ではなく、選手が多少入れ替わっても続くような継続性。

 さらに言うと、一人のヘッドコーチが数年間継続して続けることは大事だけど、本来ならヘッドコーチが変わっても続くものがなくてはいけないと思う。今はまだ、傍目から見ると、この日本代表の“カルチャー”はウィスマンHCが作り出しているもののようだ。おそらく、今コーチが代わったら、“カルチャー”はなくなり、また0から作り直すことになってしまう。できることなら、ウィスマンがヘッドコーチでいる間に、ウィスマン・ジャパンのカルチャーではなく、真の意味での日本代表のカルチャーを作り出し、次に繋げてほしいと思う。組織の面でも、人の気持ちの面でも。

 実は、こういった流れはアメリカ代表(男子)も最近経験したことだ。インディアナポリス世界選手権(2002)やアテネ五輪(2004)でチームが崩壊し、結果も出せず、代表に入ることが選手の誇りではなくなった時期があった。それを作り直したのが、2005年に米代表の責任者となったジェリー・コランジェロだった。日本で行われた世界選手権(2006)では目標(優勝)には達さなかったが、それでも、その経験が北京五輪(2008)やトルコ世界選手権(2010)の優勝の土台となった。

 代表の継続性には、若手世代への継承も含まれる。最後に、8月の取材のときにウィスマンHCが言っていた言葉を、もうひとつ紹介しておく。

「もうひとつ、個人的な目標として──これは私にとっては先ほどの目標と同じぐらい大事な目標なのですが、それは、このグループをアジアで競えるところまで育てるだけでなく、若い選手たち、次の世代の選手たちもまたそういった出場権を競えるようになること。1つのグループの選手たちが、年を取ってからも、彼らにだけ責任を負わせるのではなく、日本が、私が代表のコーチを退いたずっと後まで、競争力を持ったチームとなるようにそういったプログラムを作っていきたいと思っています」

(ここで、ウィスマンHCが「先ほどの目標」と言っているのは、「オリンピックまたは世界選手権の出場権を取ること」。これについては小永吉陽子さんがLive Basketball!で詳しく書いているので、そちらを参照)

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コメント

Iversonはなんでトルコにいったんでしょうか?日本に来て欲しかった。

投稿: manji | 2010年12月10日 (金) 21時10分

manjiさん

返信が遅くなってすみません。ブログと関係ない内容のときは、できれば掲示板たツイッターで書いてくださいね。

日本のチームがオファーを出していたという話は聞きませんが、中国のチームのオファーを蹴っていったほどですし、アジアのようにあまりに文化が違う環境は避けたのかもしれませんね。

投稿: 陽子 | 2010年12月31日 (金) 12時37分

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