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2010年12月30日 (木)

ベテランの熱い気持

 年が変わる前に、久しぶりにブログでNBAの話題を。
ツイッターでは、頻繁に取材ネタをつぶやいています)
…というのも、最近の試合で色々と思ったことがあったので。

 最近の試合といっても、世間から大注目だった割に残念な内容だったクリスマスゲーム、ヒート@レイカーズの話ではなく(そちらも思うことは多々あったけれど)、その翌日に行われたサンズ@クリッパーズ。

#そういえば、このサンズ対クリッパーズのマッチアップは1年前はクリスマスゲームのひとつだった。ドラフト1位のブレイク・グリフィンが、彼が手本としていたアマレ・スタッドマイヤーと対戦。しかもサンズには兄のテイラー・グリフィンも所属していたというオマケ付き。確かに、注目のマッチアップあり、ファミリー・ストーリーありで、クリスマスゲームにふさわしい対戦になるはずだった。しかし、グリフィンがプレシーズン中に故障して欠場。確か兄グリフィンもinactiveでスーツ姿だった。

 その1年遅れのマッチアップが、今年はクリスマス翌日に実現した。1年遅れたために、アマレはニックスに移籍してしまったし、兄グリフィンもサンズと契約更新してもらえず、今はベルギーでプレーしている。

 でも、いなくなった彼らに代わって実現したマッチアップが、意外なほど面白かった。ブレイク・グリフィン対グラント・ヒル。21才の実質ルーキー対38才のベテラン。フィジカルな肉体派パワーフォワード(208cm/114kg)対かつてジョーダンの後継者とも言われた技巧派スモールフォワード(203cm/102kg)。

 本来のマッチアップではなかったのだが、前半にグリフィンにマッチアップしていたビッグマンたちがやられっぱなしで、後半が始まるときに、ジェントリーHコーチがグラントにグリフィンのマークを指示したのだという(その前にヒルのほうからも、マンツーマンをやるならマークすると志願していたらしい)。

 未だに38才とは思えないプレーを見せてくれているヒルだけど、さすがにグリフィンのパワフルでアスレティックな動きにはついていけないだろうと思ったら、とんでもなかった。まさに“ロックイン・ディフェンス”。グリフィンにぴったりマークし、彼がやりたい動きをほとんどさせなかった。現在、ダブルダブル(得点・リバウンドで2桁)の連続試合記録@クリッパーズを更新中のグリフィンを、あれだけ抑えられるのはすごい。年齢差による身体の衰えはまったく感じられず、逆に経験の差を感じた。

 結局、サンズは103-108で試合には負けたのだけれど、ハーフタイムで12点ビハインドだった試合を、4Q終盤で1点ビハインドまで追い上げたのはヒルのディフェンスがあってこそ。前半で19点・8リバウンドをあげていたグリフィンだが、主にヒルがマークしていた後半はほとんどシュートも打てず、9点・4リバウンド(これも十分に立派だけどね)。二人のファウル数を見ると、後半だけでヒルが5ファウル(前半0)、グリフィンが4ファウル(前半1)。ここからも、どれだけフィジカルな戦いだったかがわかる。

 試合後に、サンズのアルビン・ジェントリーHCに、ヒルがなぜグリフィンを相手にあれだけのディフェンスができるのかを聞いてみた。
「それは、彼が努力することを厭わず、やりたいという気持ちでディフェンスしているからだ。しかも、そのことに誇りを持っている」(ジェントリー)

 さらに、同じ30代後半のスティーブ・ナッシュにも、ヒルのディフェンスについて聞いてみた。
「アンビリーバブルだった。言葉で言い表せないぐらいだ。グラントはこのチームにはとても重要な選手だ。2番であれ、3番であれ、4番であれ、チームが必要とすることをやってくれる。このチームは彼なしにはやっていけない。体重では(グリフィンに)かなり負けているけれど、それでも(ヒルには)戦う気持ち、賢さ、タフさがある」(ナッシュ)

 ヒルのフィジカルなディフェンスに対して、グリフィンもフィジカルなプレーで対応。さらには口でもトラッシュトーク(?)もしていたらしい。そのことについて、ヒルはこう言った。
「トラッシュトークをしてくるのなら、僕もそれには言い返す。コービーやレブロンのようなグレートプレイヤーも相手にするけれど、彼らは滅多にトラッシュトークはしてこない。1年目の選手だったら何も言うべきではない。彼はグレートプレイヤーだし、リスペクトもしているし、彼のことは好きだ(※)。でも競っているときには、僕は誰のことも好きではない。戦いなのだから」(ヒル)

※兄が昨季、サンズでプレーしていたので、ヒルはグリフィンの両親もよく知っているのだ。

 この戦いの姿勢。熱い気持ち。単に経験や技巧だけでなく、それがあるからこそベテランで若いスーパースター選手と互角以上に戦えるのだろうと思うのだった。こういった、気持ちが感じられるプレーを見ることができて、その気持ちを聞くことができると、どれだけ締め切り前がつらくても(苦笑)、この仕事をしていてよかったなぁとつくづく思う。年の締めにふさわしいいいものを見せてもらった。

 次のエントリーではグリフィンについて書きます。

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コメント

一昨日、日本で放送されたReal NBAがヒルに24時間密着取材という特集だったので、この記事はタイムリーで興味深く読ませてもらいました。
キャリア途中の大けがにもかかわらず長くプレイしていられるのは、フェニックスの気候や、サンズの組織、チームメイトなどのいろいろな要素が重なっていると思いました。番組でプレイし続けていることに対するヒルの充実感が感じられたので、このエピソードもその発露としてなるほどと納得できました。あと何年ぐらいやれるか楽しみに見ていきたいと思います。

投稿: Kench | 2010年12月30日 (木) 14時59分

早速の感想、ありがとうございます。グラント・ヒルの24時間密着、少し前にこちらでも放映されたので見ました。パパぶりが微笑ましいですよね。

サンズには、ベテランで同じように身体に気を使うナッシュがいることも、ヒルにとっては居心地いい環境となっているひとつの理由なのかもしれません。

投稿: 陽子 | 2010年12月31日 (金) 12時33分

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