カテゴリー「2006 FIBA 世界選手権」の記事

2006年9月29日 (金)

中国の進む道

 NBAのトレーニング・キャンプ開始までカウントダウンとなり、さすがにそろそろ世界選手権モードを脱出しなくては。というわけで、慌てて最後の回をアップします。

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 予選ラウンド最終日の劇的な勝利で決勝ラウンド進出を決めた中国。しかし、決勝ラウンドでは大会準優勝のギリシャのトラップディフェンスに手も足も出ずに、ボロボロにやられてしまった。すっかり中国の大黒柱の風格が出てきたヤオ・ミンいわく、「今回の結果(決勝ラウンド進出)は、一番最低限の目標を達成しただけ。今後はもう少し結果を出していかないといけない」とのこと。

 2年後のオリンピックが北京で行われるだけに、ファンやメディア、そして国からも大きな期待をかけられているようだ。その期待の表れのようだったのが、中国から集まったメディアの数。中には取材に来ているのか、応援に来ているのかと思うようなメディアもいたのだけれど(*)、とにかくそのエネルギーたるや、すごい。札幌会場の記者会見では、もっと質問したい中国メディアと、試合後の汗をかいたユニフォーム姿の選手を早く着替えさせてあげたいというFIBAスタッフの間で火花が飛びかっていたこともあった。

P1150887s   そして最終戦後。通常通りの英語+日本語のみの記者会見のあとに、中国のヘッドコーチが中国人メディア向けに追加で記者会見を行った。今、中国のヘッドコーチはリトアニアのヨナス・カズラウスカ氏(聞いた話では、中国は彼に対して、日本がパブリセビッチ氏に払っているよりもかなり高い契約金を払っているらしい)なので、記者会見自体は中国語の通訳付で英語で行われた。それならということで、大勢の中国人メディアの中、私も残ってやり取りを聞かせてもらった。公の場でやっていることだから何の問題もないのに、なんだか「潜入」している気分で隅っこでコソコソしたりして…(苦笑)。

 記者会見ではギリシャ戦の敗因、特にギリシャのプレスに対応できなかったことに加えて、今後、北京に向けての強化の話にも及んだ。そこでカズラウスカ氏は「これは私の個人的な提案だ」と断った上で、次のようなことを言っていた。

P1150884s_1 「このまま選手がCBA(中国のトップリーグ)でプレーしているだけではだめだ。選手を外に送り、もっとふだんから厳しい競争に立ち向かわなくてはいかない。そうやって選手を外に送ることはCBAのレベルとしてはマイナスになるかもしれない。しかし、2年後の北京五輪までの短期間で考えるのなら、そういったやり方も必要だ。
 ヤオがいる限り、中国には大きな可能性がある。何もないわけではなく、若くいい才能がある。たとえば、CBAでイ(ジレン)をディフェンスできる選手がいるだろうか。彼は中国国内で、いったいどれだけディフェンスのプレッシャーを感じてプレーしているのだろうか。
 イタリア、スペイン、ロシアなど、短期間で強化するにはそういったヨーロッパの国に出ることもいいだろう。たとえば、きょうギリシャが見せたようなボールに対するプレッシャーは、ギリシャでは毎試合経験することができる」

 中国のバスケットボール界の動きを見ていてスゴイと思うのは、外国の力を利用してでも成長しようとする貪欲さだ。ヤオ・ミンがNBAから猛烈ラブコールを受けたときも、ヤオにNBAでプレーする許可を与えるかわりに、NBAからコーチのクリニックへの人材派遣をはじめ、強化につながる多くの約束を取り付けていた。ヤオが怪我をしたときや、ワン・ジジがNBAでの高額契約獲得を得ようとして代表チームに戻らなかったときなど、彼らをNBAに出したことに対して懐疑的な声も大きくなったと聞くが、それでもやはり、そうやって貪欲にやってきたことで、確実に中国は前進している。前進しようと努力している。それは、今大会での中国を見て感じたことだった。
 さて、北京までのカウントダウンが2年を切った今、このカズラウスカスHCの提案を受け止め、中国バスケットボールはどんな動きを見せるのだろうか。

* 聞いた話では、接戦となった予選ラウンドのプエルトリコ戦中、プエルトリコのフリースローのときにエンドラインのカメラ席から、写真も撮らずにフリースローの邪魔をしようと手を振っていた中国人カメラマンがいたらしい。それを見て憤ったプエルトリコのカメラマンとつかみ合いの喧嘩になりそうだったとか。取材者としてはとても褒められた行為ではないけれど、いやぁ、この熱さはスゴイ。

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2006年9月23日 (土)

「日本風味」

 すっかり間があいてしまい、早くも9月も残すところ1週間。今さらではあるけれど、NBAシーズンが始まる前に、世界選手権ネタで出しそびれていたものを数回に分けてアップしようと思う。

 日本で開催された世界選手権。LAに戻って留守録にしておいたESPNでの放送バージョンを見たら、トップの映像が神社だった。実際には神社を見に行った選手たちは少なかったと思うけれど、その分、いろんなところで彼らなりの「日本風味」(食べ物に限らず)を味わっていた。中でも、「日本語」はやっぱり彼らにとっては滞在中、一番身近にあった「日本」だったようだ。

P1150619s_1  このTシャツ、もしかしたらあまり知られていないのかな。イタリアチームが自分たちで作って、札幌の試合前にまわりの人たちに配っていた…らしい。Sカメラマンがもらったのだけど、サイズが小さいということでくれた。決勝ラウンドで勝ち進んでいたらもっと配ったのかもしれないけれど、ベスト8決定戦であっさりと負けてしまったので、もしかしたらまだこのTシャツ、たくさん彼らの手元に残っていたのではないだろうか、と余計な心配をしてみたり。
 ちなみに、埼玉で初めてイタリアを見た人たちにとっては、今回のイタリアチームは印象薄いチーム(あるいは信じられないフリースローミスで、勝負弱いチームとして印象に残っている?)かもしれないけれど、札幌の間は、若くて荒削りながらも、なかなか魅力的なチームだったのだ。
 大会一のイケメンとも噂された⑤バシーレ。31歳のベテラン。最初の試合で27点と大活躍だったのに、次の試合では出番も少なく、もしかしたらケガでもしたのかと思って隣に座っていたイタリアの記者に聞いたところ、「いや彼は波がある選手なんだ。きょうの出来は悪かったからね」とのこと。確かにそうだった。というより、彼が目立った活躍をした試合は結局最初の試合だけだった。
 かわりに注目されていたのが、20歳の若手、④バリネリ。彼も波があったけれど、若い選手の波はまわりも大目に見てくれる。アメリカ戦で25点をあげると、試合後の記者会見でイタリアのメディアからコーチKに「彼は将来NBAでやっていけると思うか?」との質問が飛んだ。コーチKはすかさず、「それよりデュークに来てほしい。デュークではイタリア語専攻も取れるし、僕にもイタリア人の義理の息子が2人いるんだ。もう(独身の)娘は残っていないけれど、奨学金の枠はまだ残っているよ」と公開リクルート(?)していた。

P1160382s_1  もうひとつ、日本語でTシャツを作ったチームはスペイン。優勝を決めたあとに、用意していた「一番」「日本」「根性」という鉢巻を頭に巻いていたスペインは、それだけでなく、「王者」と書かれたTシャツも作っていた。それがこれ。下の「Pau Tambien Juega」のTシャツと同じ色だから、いっしょに作ったのかな。「王者」の上には、「Golden Boys」と書かれていた。
P1160313s  優勝後の様子からもわかるけれど、このスペインチームは選手同士、かなり仲がいいらしい(パウ・ガソルは特にナバロと仲良く、この大会中もルームメイトだったとか)。チーム内だけでなくて、家族も仲がいい。ガソルは一家で応援に来ていたらしいが、優勝後には父がミックスゾーンのすぐ近く(記者席のすぐ横)まで下りてきて、その父を発見したガソル兄弟が父と固く抱き合っていて、家族が支えあっている様子がうかがえてとっても微笑ましかった。彼らにとって、この日本語のTシャツとともに、日本で過ごした2週間がいい思い出として残っていたら嬉しいですネ。

P1160221s  そういえば、こんな「日本風味」もあったっけ。決勝戦前、スペインのテレビ局レポーターたちがスタンドからプレゲーム・レポートをしようとしているところ。かなり気合が入ってます。

 余談だけど、大会前からチームに期待がかかり、国民の注目も集めていたこともあって、スペインのメディアはとてもアグレッシブだった。予選ではグループが違うのに札幌にまでレポーターが来ていて、アメリカの選手たちに「スペインはどう思いますか?」「パウ・ガソルはすばらしい選手だと思いませんか?」とスペインの質問攻撃。アメリカ選手にとってはスペインはグループも違い、いつ対戦するかわからない相手なわけだから、当然まだスペインのことは考えていなかったのに(結局、対戦はないままに終わってしまったし)、彼らが何度そう言っても、スペイン人レポーターはメゲることなくスペイン攻撃を続けていたのだった。そういえば、埼玉に移ってから、アメリカの練習にパット・ライリーが現れると、すかさず「ナバロをどう思いますか?」「ヒートで獲得したいと思いませんか?」と、またもやスペイン攻撃。ちなみに、ナバロの権利はまだウィザーズが持っているのでこういう質問にはライリーは答えられないのだ。ライリーもスペインのレポーターにはそう言ってかわしていたのに、なぜか、インターネットで見たスペインの新聞では「ライリーがナバロについて熱く語る」になっていた。

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2006年9月 3日 (日)

Pau Tambien Juega

P1160224s  世界選手権最終日から、少し前に戻りました。長くて濃い2週間で、札幌のことはすでに遠い昔のことのよう。埼玉に移ってからは毎日やることが詰まっていて、このブログも札幌最終日以降まったくアップできず…(スミマセン)。このあと1週間、今度は締め切りでかなり厳しい毎日になりそうですが、自分の記憶を呼び起こすためにも、少しずつ振り返っての話をアップしていきたいと思ってます。

 さて、きょうの決勝戦からのトピックはこれしかないでしょう。このTシャツ、何だかわかりますか? きょうのタイトルにも使ったこのスペイン語、「パウも僕らといっしょにプレーする」という意味だそうです(Tambien=「も」、Juega=「プレーする」)。このTシャツ、スペイン選手たちがコートに入ってきたときにユニフォームの上に着ていたもの。2日前のアルゼンチン戦で右足小指を骨折したパウ・ガソルがきょうの決勝に出られないとわかってから作ったものなのでしょう。まさにこの言葉の通り、スペインの選手たちはパウの分もハッスルして決勝戦に圧勝。世界選手権金メダルを獲得しました。松葉杖のパウは、片足でピョンピョンと跳び上がったり、チームメイトと抱き合ったり大忙し。彼が跳び上がるたびに、メンフィスでは心配でしかたなかったはず。

P1160311s_1 (右の写真は弟のマルクに肩を借りてメダル授与を受けた直後。このマルクが、きょうは勝利に貢献する活躍で、言って見れば、出来すぎの人情モノのような試合でした)

 ちなみに、スペインではこの世界バスケが大盛り上がりだそうで、準決勝の視聴率はW杯に次ぐ高視聴率(29%)だったとのこと。決勝は日曜の昼だったし、おそらく、さらに高い視聴率だったのではないでしょうか。スペイン国内4ヶ所でパブリック・ビューイングが行われていたとも聞きました(このあたりのスペイン情報は、すべて大会中にスペインのテレビ局のお手伝いをしていたSさんからの情報です。多謝!)

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2006年8月24日 (木)

sayonara

 D組予選ラウンドの間、きたえーるの両エンドライン側に取り付けられた大スクリーンで、試合の合間に世界バスケのプロモーションビデオが流されていたのだが、そのクリップの最後でプエルトリコのカルロス・アローヨが「サヨナラ。See you in Japan」と言っているのが気になってしかたなかった。どう考えても「サヨナラ」という言い方はオカシイ。おそらく英語の“See you”を日本語で何と言うか聞かれた人が、「またね」のほうではなく「サヨナラ」選んでしまったのだろうけれど、これじゃ、日本に来る前から別れを告げられているようだ。…なんて言っていたら、プエルトリコは本当に「サヨナラ」になってしまった。

 波乱の最終日@D組は、中国が大逆転ブザービーター3ポイントでスロベニアを下した試合から始まった。そこまで不発だったガードのワン・シペングの3ポイントがゴールに吸い込まれると、中国の選手たちは歓喜で抱き合い、中国人メディア応援団も狂喜乱舞だった。対するスロベニアはお葬式のよう。ミックスゾーンでコーチの一人がスロベニアの記者たちの取材を受けてはいたけれど、それ以外は記者会見もコーチ、選手ともに行かず、ミックスゾーンでもほとんど誰も話していなかったと思う。ガード選手2人を除いて、全員がさっさとバスに乗ってホテルに引き上げていったらしい。

 とはいえ、スロベニアにはまだチャンスが残されていた。細かい説明は省くが、要はプエルトリコ対イタリアでプエルトリコが勝てばプエルトリコがグループ3位、負ければスロベニアがグループ3位で決勝トーナメント進出。中国はどちらにしても4位決定なので、スロベニアやプエルトリコにとっては3位(決勝トーナメント進出)か5位(予選敗退)のどちらか、だったのだ。
 イタリア対プエルトリコ戦、実力的に見ればイタリアのほうが上。とはいえ、イタリアは勝っても負けても順位が変わらないのに対して、プエルトリコにとってはがけっぷちの1戦で、当然気合が入っている。そんなわけで、試合は最初から最後まで接戦。しかし、残り1分余り、イタリア3点リードの場面で速攻に飛び出したアロヨはトラベリングを取られてしまった(試合後のアロヨいわく、「あれはファウルだった」とのこと)。最後ブザービーターで狙ったアロヨの3ポイントが外れて、プエルトリコの予選敗退が決まった。
 試合後に知ったのだが、実はこの世界選手権はプエルトリコのトロHCにとって最後の代表監督大会だった。私がこれまで見てきたプエルトリコはいつもトロHCとアロヨがセットだっただけに感慨深い。プエルトリコにとってひとつの時代が終わった。

 

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2006年8月22日 (火)

中国、崖っぷち

P1150599s  世界バスケも予選ラウンドの折り返し点を越え、予選は残すところ2日。そろそろ各チームの明暗が分かれてきた。札幌ではアメリカがダントツで飛び出ており、その下にスロースタートな割に勝負強いイタリア、札幌で一番の応援団を持つスロベニア、きょうの中国との熱戦に勝利して決勝ラウンドが近づいたプエルトリコ、あとがない中国、セネガルと続いている。

 この左の写真は大会2日目、20日にミックスゾーンで撮影したもの。この日はアメリカ相手に敗れたものの、後半に手ごたえを感じられたということで、ヤオも気持ちよく取材に答えていた。
 しかし、きょう22日は中国はプエルトリコ相手に4Qの10点リードを守れず、オーバータイムの末に痛恨の3敗目。ヤオは4Qの半ばでファウルアウトしてしまい、4Q後半とオーバータイムはベンチから眺めるばかりとフラストレーションがたまる試合だった。試合後、ロッカールームから出てきたときにはミックスゾーンで待ち構えるメディアの前を素通り。中国人メディアが声をかけて呼び止めると、中国語で何やら一言いって去っていってしまった。某Y記者が隣にいた中国人メディアに聞いてくれたところによると、「(質問は)レフリーに聞いてくれ」と言ったのだとか。ただし、そのあと他の中国人メディアから「そんなことは言っていない」と言われたらしいので信憑性は…?

※8/23補足。中国人の通訳の人に確認した最新情報では、ヤオは「5人と8人で戦ったら、5人で勝てるわけがない」というような意味のことを言っていたらしい。

 何にしても、ヤオがこの日のファウルコールにかなり不満を感じていたことは確か。確かにラモスから頭突きを受けながらダブルファウルを取られていたし、サンティアゴが勝手に倒れたような感じに見えたときもヤオのオフェンスファウルではあったけれど、国際大会ではこれも勝負の運のひとつ。10点リードを守れなかった中国のつめが甘く、諦めずに追い上げたプエルトリコの粘り勝ちだった。

 土・日には中国人の大応援団がいたのだけど、平日になって帰ってしまったのか姿が見えず。この試合こそ応援が欲しかったところだったのに。…と思っていたら、中国メディアがまるで応援団のかわりのように声援を送るわ、ゴール下のカメラマンがプエルトリコのフリースローのときに写真そっちのけでタオルを振るわ…。←これはさすがに注意されていた。このタオル振りのカメラマン、プエルトリコの選手がフリースローをミスしたらガッツポーズで喜んでもいて、プエルトリコのカメラマンと一触即発状態になったらしい。これが原因で、さすがに撮影許可証にもあたるカメラマンのビプス(上から着るチョッキのようなもの)を取り上げられていたとの噂。
(メディア証の裏に「応援すること、サインを求めることは不可」とはっきり書かれているようなアメリカで記者を始めた私としては、たとえ国対抗の試合でも記者が取材しながら声援をあげることにすごく抵抗があるのだけど、どうも中国的にはOKらしい。ほかには、イタリア人記者も毎試合かなり熱い。ま、これはイタリアが毎試合後半で逆転という試合をしているからでもあるのだけれど)

 3敗した中国にとっては、決勝ラウンド進出はかなり厳しい状況。4年前にインディアナポリスの世界選手権で見たときよりはいいチーム、可能性を感じられるチームになってきているんだけれど、まだ世界の壁は高い。

 その4年前の世界選手権に興味ある方がいるようでしたら、下のリンク先をどうぞ。自分で読み返しても、ちょっと懐かしい。このときは今より、かなりマメに更新してましたね…。
http://homepage1.nifty.com/yokomiyaji/scrapbook/200208.html
http://homepage1.nifty.com/yokomiyaji/scrapbook/200209.html

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2006年8月18日 (金)

世界選手権前夜

P1150507s  いよいよ明日から世界選手権(世界バスケ)が開幕。札幌担当の私は、きのう、ちょうどアメリカチームと同じ頃に札幌入りして取材を始めてます。

 札幌は、何しろ一番人気のアメリカチームがいるし、北京五輪に向けて気合が入っている中国チームはあるしで、メディアの数もかなり多い。きょうは各国の公式練習が順に行われたのだけれど、一番メディアが多かったアメリカのときと中国のときは、ミックスゾーン内だけでも200人くらいいたんじゃないかな。前日のきょうからそんな状況なので、明日から試合が始まったらさらにすごいことになりそうです。特に中国人メディア! 数も多い(日本人メディアより多い)し、気合も入っていてスゴイ。あのバイタリティは見習わなくては。

P1150455s  その中国、故障していたヤオ・ミンもワン・ジジーも練習はしていた。といっても、メディアに公開の部分はシュート練習だけなので、果たして試合でどれだけできるのかはわからず。ヤオ自身、試合は4ヶ月ぶりなのでコンディションは最善とはいえないと言っていた…らしい(ミックスゾーンの取材は中国語でのインタビューだけで終わってしまったので、あとから中国語通訳の人に聞いたのです。こういう世界大会を取材するたびに、英語だけでなく中国語とスペイン語もわかるようになりたいと思います)。

 さて、明日から2週間はひたすら体力勝負になるので、これから北海道の美味しいものでも食べに行ってきます!

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2006年8月 1日 (火)

Team USA (7) 二次合宿開始

P1140987s

 米代表は5日間のオフを挟んで、きょうから再びラスベガスで二次合宿をスタート。休みで身体も気持ちもリフレッシュさせたからか、選手たちの間にも笑顔があふれ、楽しそう。

 この二次合宿のあとはそのまま中国と韓国のアジア遠征、そして日本と1ヶ月の遠征に突入する。レブロンにスーツケースをいくつ持ってきたか聞いたら、「スーツケース2つと機内持ち込みのカバンが2つだよ」との返事。もっと大荷物なのかと思ったので、「思ったほど多くないね」と言うと、「でも、スーツケースは大きいよ。これくらい」と、私の背より高いところに手をかざした。そんなに大きいスーツケースなのか。

 相棒(?)のドウェイン・ウェイドのほうは、インタビューが終わるとカバンからおもむろにカムコーダーを取り出した。「そうだ、カムコーダーを持ってきたんだ。記念にいろいろ撮らなきゃ」と、まわりのメディアやチームメイトたちの撮影を始めた。アマレに「フラッシュ・カムだ!」と言われてまんざらでもない様子。

 15人に減って背番号も決まった。大会までにあと3人カットされるので、今回16、17、18を与えられた3人だけは、ロスターに残ったら、あいた番号に変更しなくてはいけない。その損な番号をつけるのは、クリス・ボッシュ(16)、ドワイト・ハワード(17)、クリス・ポール(18)の若手3人。正確に言うと、ボッシュよりカメロやレブロンのほうが若いのだけど、さすがにこの2人は好きな番号を選んだようだ。

 明日は夕方にプエルトリコとのスクリメージ。そういえば、膝の手術で今回の米代表を外れたコービー・ブライアントも、明日の練習には顔を出すらしい。

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2006年7月27日 (木)

Team USA (6) 15人決定

P1140817s_1  25日、アジア行きのメンバー15人が発表になった(15人の名前はこちら)。
 外れたのは、ルーク・リドナーアダム・モリソン、そして膝の痛みのために今回は辞退することにしたショーン・マリオン。マリオンはアメリカでただ一人、4年前の世界選手権と、2年前のオリンピックの屈辱を両方経験している選手だけに、今年の世界選手権にかける思いはひとしおだったと思うのだが、キャンプ最後の2日間になって痛みが酷くなったようで、無理をせずに大事をとることにしたらしい。
「こうなったのは残念だけど、僕もまだこのチームの一員だ。このチームはもう家族のようなものだし、応援している」とのこと。
 世界選手権もだけれど、ラスベガスにあるUNLV出身の彼にとっては次の合宿の仕上げに行われるプエルトリコとのエキジビションゲーム@ラスベガスに出られないのも残念だったことだろう。ラスベガスでのラジオでも盛んに「ショーン・マリオンがいるTeam USAの試合」と言って宣伝していたのに。

 ところで、ずっとアジアに行くのは15人だと発表されていたのだが、その一方でコーチKは「アジアに行ってから(故障のために)選手をさらに呼び寄せなくてもいいように」とか、「(アジア行きのロスターの)15人という数にこだわっているわけではない」と言っていたので、もしかしたらとは思っていたら、案の定。実はジェリー・コランジェロとコーチKは、マリオンが怪我のために辞退するまで、アジアへは16人連れて行くつもりでいたらしい。つまりマリオンが辞退したおかげで残った選手がいるわけではなく、単にこの段階でロスターが16人が15人に減ったということだ。
 ちなみに、大会の最終ロスター12人の登録期限は大会開始の24時間前、つまり8月18日。しかし、実際に12人に減らすのは韓国から日本に向かう前になるだろうとのこと。韓国での最後の練習がある16日かな。いったん12人を登録したら怪我でも大会途中の交代はきかないので、12人から外れた3人は日本には行かず、韓国からアメリカに戻ることになる。こうやって目的地に着くまでに人数が減っていくのって、なんだかウルトラクイズのようでもあり…(「NYに行きたいか~」ではなく、「さいたまに行きたいか~」が合言葉)。

 オマケとして、25日の取材から小ネタを2つほど。
●24日、ブルース・ボーウェンの携帯に、スパーズのチームメイト、ティム・ダンカンから15人入りを祝福する電話があったという。アテネ五輪で審判の笛に苦しんだダンカンだけに、何かボーウェンにアドバイスがあったかと思って聞いたら、「特にアドバイスはなかったけれど、祝福してくれて、自分たちが経験したようなことがないようにと言ってくれた」とボーウェン。
 ボーウェンはディフェンス力、3ポイントシュート力に加えて、ベテランのリーダーとしてこのチームには必要な選手。海外リーグでの経験もあり、違う環境でプレーするのにどういうことが必要かもわかっている。故障など何かない限りは12人に入るはず。
エルトン・ブランドの目下の悩みといえば、もし日本行きの12人に入った場合、そのまま9月末まで日本に残って、来季のクリッパーズのキャンプ地であるロシアに日本からまっすぐ行くべきか、それとも長時間の飛行機と時差調整を一回余分に経験してでも一度ロスに戻るべきか。「日本からロシアは何時間くらい?」「日本からロスは何時間だっけ?」と、私たち、日本人記者(といってもこの日は私とY記者の2人だけだったが)相手に情報収集していた。エルトンが大会後も日本に2週間も滞在してくれたら日本のファンにとっては嬉しいけれど、あの日本の夏の暑さを経験したら、「やっぱりロスに帰る」と言い出すに違いない。

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2006年7月25日 (火)

Team USA (5) 赤丸急上昇中

P1140639s_2   レブロンやウェイドが活躍するのは当然として、それ以外に一次合宿でコーチや選手の間での評価が意外と高かった選手のひとりが、昨季の新人王、クリス・ポール。きょうの最終スクリメージでも、レブロン、カメロといっしょに白チームでプレーしていたが、堂々としたもの。まだ21歳、チームでも下から二番目の若手だが、この世界選手権で鍵となる活躍をしそうな予感。

 そのポール、実は生まれてこのかた、まだアメリカ大陸から出たことがないらしい。2年前にヤングメンの米代表としてプレーしたというのでてっきり海外遠征の経験があるだろうと思っていたら、2年前(ヤングメン・アメリカ大陸予選)はカナダが開催地。NBAの試合でもトロント(カナダ)に行くからパスポートは持っていたらしいが、アメリカ人にとってカナダは外国というほどの異国でもないから、言ってみれば今回が初の海外旅行。かな~り楽しみにしているようだ。

 ポールのエピソードをもうひとつ。この一次合宿中、選手たちは夜な夜な、カジノにはいかず、かわりに誰かの部屋に集まってカードをしたり、ビデオゲームをしたりして遊んでいたらしい。ポールもその中に混じっているのだが、カード(トランプ)になると「一抜けた!」になるのだという。その理由はといえば、「だって、彼らが賭けているお金はルーキー契約の僕には高すぎるからね。家でもカード(トランプ)はよくやっていたけれど、いつも一手10ドルだったよ」とポール。それを聞いたアリーナス、「ロイ(ROY=Rookie of the Year=新人王)は最高額の契約確実なんだゼ」と茶々。そんな誘惑にも負けず、今夜もカードゲームになると、堅実に見学にまわるポールなのだった(たぶん)。

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P1140778s  カメロ・アンソニーも、一次合宿でのコーチの評価が高かった。最初に23人が発表になったときには当落線上ギリギリと言われていたけれど、この合宿の間に当確に急上昇だ。
 Team USA (3)ではカメロ・ファンを少し不安にさせる(?)ようなことを書いたけれど、きょうの練習後にはウェイドとカメロで楽しそうに&真剣にシューティングゲームをしている姿を目撃。上に書いたカードゲームにも参加しているようだし(逆にウェイドはこういう集まりには顔を出さないらしい)、決して仲間はずれというわけではないようだ。最初からチーム当確でリラックスしていたウェイドやレブロンに対して、チーム入りのためにコート上で証明しなくてはいけなかったカメロは、二人といっしょになってリラックスしている余裕がなかったのかも?

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2006年7月24日 (月)

Team USA (4) 一次合宿終了

P1140776s_1  一週間にわたって行われたTeam USA一次合宿が終了。明日の朝には、アジアに行く15人の選手が発表になる。
 コーチKはきのうの練習後、「身体を絞らずに合宿に来る選手がいたり、故障でプレーできない選手が出てくるかと思っていたが、そのどちらも起こっていない」と言っていた。
 とはいえ、故障のほうはまったく何もなかったというわけではなく、カーク・ハインリックがハムストリング痛のために4日目の練習を休んでいたし、アマレ・スタッドマイヤーは膝のリハビリ中でどれくらいやれるか様子見の状態だった。それでも、ハインリックは最後の2日の練習はきちんと参加し、スタッドマイヤーは後半に行くにつれ調子がかなり上がってきて、自信をつけてきたようだった。
P1140729s  しかしもう一人、キャンプ期間中はあまり公に語られていなかったけれど、膝に痛みを抱えていた選手がいた。体調が万全なら世界選手権のロスター入り当確だったショーン・マリオンだ。痛みで思ったようなプレーができず、最後の2日の練習を休んでいたらしい。その結果、今回の世界選手権は辞退するとのこと。残念。思えばこの写真(練習に参加した最後の日、7/22に撮影)でも、心なしか表情が暗い…。
 マリオンが抜け、もともと世界選手権には不参加の予定だったチャンシー・ビラップス、マイケル・レッドを除くと、明日の発表でカットされる(※)のはおそらくあと2人。ルーク・リドナーとアダム・モリソンだろうというのが大方の見方なのだが、さてどうなるやら。コーチKの話を聞く限り、場合によっては(たとえば怪我の不安があるなど)、15人ではなく16人でアジア遠征に行く可能性もあるかも? アジア遠征に行けない1人、あるいは2人の選手に対しては、コーチKが1対1でその決定を伝えることになるようだ。

※Team USA (1)でも書いたように、コーチKは「カットではない」と強調している。ここで外れた選手も、北京五輪までの3年間は米代表という立場には変わりないからだ。

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